引っ越してから一ヶ月になろうとしている。


部屋が狭い。


ゆえに、


かさばる紙の書籍はなるべく買わないと決めた。



しかし、



ブックオフで買ってしまった。



もっとも、


なるべくという言葉を添えたので、


融通の利く、あるいは言い訳をできる余地のある、


固い決め事ではなかった。



ずるい料簡ともいえる・・・。



じぶんは決意が固いほうではない。



最近『ゴルゴ13』に、


嵌っている。



引っ越してから、


コインランドリーへ通う機会があったんだけど、


時間待ちの人のために、


ゴルゴ13が本箱に並んでいる。



ゴルゴ13は以前から好きなんだけど、


しばらく空白期間があった。



ところが、


それがコインランドリー通いで再燃したというわけ。



不死身のゴルゴ13。



が、この一冊に収録されたある話では、


運に助けられて命拾いしている。



彼はあらゆる不測の事態を想定して仕事に挑み、


命の危機を回避する。



それでも、


予測できない命の危機に四六時中さらされているわけで、


そういった場合、強運の星のもとに生まれたことも重要だ。


強運をもっていることも、超一流の証でしょう。



『司馬遼太郎が考えたこと 1』におさめられたエッセイは、


若い頃のものがおおい。



高校受験に失敗した司馬青年は、


やけくそのあまりに馬賊になろうとしたのだそうだ。


馬に跨り、モンゴル草原を疾駆するあの馬賊にである。


本人はいたって真面目になるつもりだった。



実際、大阪外語の蒙古語科に入学したのだから、


嘘ではないのだ。



なんだか微笑ましい。



『魚ぎらい』というエッセイには、


音を立てて笑ってしまった。



徹底的に魚料理を嫌っている。


その嫌いぶりは病的と表現してもいいほど。


驚くべきことに奥さんも大嫌い。


夫婦そろってとことん魚嫌いなのだから、


運命的な夫婦だ。



このエッセイで、


司馬夫婦は罰当たりなことをしでかしている。



ゴルゴ13のほうは、


コインランドリーに提供しようかな。



司馬遼太郎のほうは、


読み終えたあとも手放さずに、


いつかページをめくるつもり。