前々回、お店にはあった。


だけど、そのときはお小遣いに余裕がなくて、


買えなかった。



そのつぎに行ったときは、


6種類のうち、気に入って、


欲しい吉祥文様の豆皿だけがなかった。



そして、


きょう・・・ありました!



浜千鳥の豆皿です。



もう買うしかない。



レジに持っていきました。



ここの店員は愛想がよい。


お客さんと積極的にコミュニケーションをとります。



レジの女の子が、話しかけてきた。



「このヒヨコの豆皿、


いちばん人気があって、すぐなくなっちゃうんですよ」


「ん?・・・ヒヨコ!?」



知らないんだ・・・。


「この鳥は千鳥です」


そう教えてあげようかなと思ったけど、


ぼくはただ微笑みを浮かべてあげました。



まあ、女の子にとってはヒヨコなんだろう。


実際、ヒヨコに見えるんだし・・・。



千鳥を知らないんだろうな・・・。



いつかこの豆皿は、


日本伝統文化の文様、浜千鳥だということを知る機会が、


女の子に来るかも知れない。



しかし、


そのことについて、


そのとき教えてあげるべきだったのか。



女の子は永遠に千鳥をヒヨコと思って、


一生を終える可能性もある。



だが、自分は店員との会話が苦手なので、


とっさに間違いを指摘することができなかった。



あっ!


この女の子が千鳥をヒヨコとおもっているからには、


店員のすべてが、この吉祥文様について無知なのか?



一人だけならともかく、


全員が知らないとなると、


教えなかったことが、


ちょっとした罪なのではないかと、思えてきた・・・。



これはヒヨコじゃないんだ、千鳥なんだ。



この間違いが増殖するかもしれない。


伝統文化の間違いが、世の中に蔓延するかもしれない。


大変だっ!



これはヒヨコじゃないんだ、千鳥なんだ。


これはヒヨコじゃないんだ、千鳥なんだ。


これはヒヨコじゃないんだ、千鳥なんだ。



店員の誰かが、


この鳥の正体をいつか知りますように・・・。


そう願うばかりです。