阪神が開幕延期に伴う今季終盤の過密日程を見据え、今後トレード補強策をシフトチェンジすることが3日分かった。
球団は、先月上旬の段階では1軍クラスの投手放出も辞さない構えで、長距離型の野手獲得を目指していた。
だが開幕が仕切り直しとなり、金本、城島に関しても開幕へのメドが立った。
過酷日程を乗り切るための投手力を絶対確保しておく必要があり、フロント‐現場で今季必要戦力を見極める協議が行われているもようだ。
一方、東日本大震災の影響で、西武など他球団では一時帰国した外国人選手の再来日の見通しが立たないケースも発生。
今後各球団のトレード補強が活発化することも予想され、阪神球団も好オファーを逃さないための準備を整えている。
忘れかけていた感触を手に、一塁へ全力で走った。打球はグングン伸びて左翼ネットに突き刺さった。
ベースを一周し、ベンチ前に整列した仲間とハイタッチを交わすと、ようやく原口の顔がほころんだ。高卒2年目でのプロ1号。八回2死に飛び出した起死回生の同点3ランだ。
体が開かないように内角直球に反応した会心の一打。
帝京高からドラフト6位で入団した昨季は、ウエスタン9試合で7打数1安打と寂しい成績。プロの公式戦で打点を記録したのも今回が初めて。
城島はもちろんFA移籍の藤井彰。そして岡崎、清水、小宮山、橋本と、ライバルは多い。厚い選手層を誇る虎の捕手陣。
そこに割って入るため、がむしゃらに、どん欲に、これから数字を積み上げていくだけだ。
気持ちを込めて、腕を振った。シーズン開幕までの最終登板は、東日本の復興を願うチャリティーマッチ。
発熱の影響で調整遅れが心配されたが、能見がマウンドで全快を証明した。今年最長の6回を投げ、4安打無失点。エースが躍動した。
23日の広島戦(マツダ)以来、中10日での登板。初回、微妙な感覚のズレからか、先頭の渡辺にストレートの四球を許した。
送りバントを決められて1死二塁。ここから粘った。スレッジを直球で左飛に抑えると、村田は外角高めの直球で空振り三振。
マウンドが低くなったことも影響して、制球に苦しむシーンも。だが、走者を出しながら要所を締めた。
打席では、シーズンを想定した流れを確認。2打席とも犠打を決めた。真弓監督は「立ち上がりは不安定だったけど、だんだんと良くなってきた。開幕投手への変わらぬ信頼を口にした。
調整遅れの心配もなく、中8日で開幕戦のマウンドに向かう。準備は万端ですか‐。最後に、こう問われたエースは不敵に笑った。
覇権奪回ロードは、プロ7年目で初の大役を務める能見の快投から始まる。
横浜スタジアムがあっけにとられたかのように静まりかえった。黙とうをささげ、復興への祈りを送った直後。開始1分で、マートンの打球は右翼席へ飛び込んだ。
逆風を突っ切り、飛ばない統一球を力強く逆方向へねじこんだ。
一回、カウント2‐2から三浦が投じた5球目だった。140キロ外角直球をフルスイングでとらえると、打球はきれいな放物線を描いた。
今年の実戦で2本目のアーチは、今年初の先頭打者弾。これで試合の主導権をつかむと、二回2死二塁で迎えた第2打席でも、初球の140キロ直球を左中間へはじき返した。
価値ある追加点となる適時二塁打。九回の第6打席ではフルカウントから外角低めのボールをしっかりと見極め、押し出し四球を選んだ。
その姿はまるで求道者。他球団では外国人選手の幾人かが東日本大震災の影響で一時帰国する中、マートンはいち早く日本にとどまることを表明した。
ただし、母国にいる家族は、衝撃的な津波の映像や原発事故のニュースが流れるたび、その身を案じているという。
そのため自ら地震のメカニズムや原子力発電所の知識を、インターネットの英文サイトを通じて情報収集。
起こっている事態を正確に分析し、正しい情報を家族に伝えることで、自らは野球に集中している。
超マジメで勤勉な助っ人を評した。だからこそ先頭打者弾を含む2安打3打点の活躍にも、納得するそぶりは見せない。
現状は悪くはないけど、もっと良くなる」。4月12日の開幕へ向け、1番・マートンは理想の形を築き上げる。
前日に続き、6球場で東日本大震災の復興慈善試合が行われた。横浜では、新井貴浩内野手が5打数4安打の固め打ち。
開幕日問題で奔走し、本業でどん底を味わった男が完全復調の気配。被災者を勇気づけ、復興支援者から勇気をもらった4番が、開幕へ向けてさらに上昇する。
9日前にどん底を味わった男が一気に急勾配を駆け上がった。本番にとっておきたい固め打ち。新井が右肩上がりの好打を4度、披露した。
上昇の要因をたったひと言で片づけた。何を聞かれても技術的な変革や向上を口にしない。感性を重視する新井たるゆえんだ。
広島時代を含め過去3度100打点を達成したが、「満足」を口にしたことは一度もない。この日も口癖にする「質のいい打点」にこだわった。
初回から3打席連続の快音はいずれも無走者。2打席目の左中間二塁打は、フェンス直撃の完ぺきな弾道も得点には結びつかない。
4番の職務を果たすべき場面は終盤に2度訪れた。七回の4打席目は走者を2人置いて変化球を打ち損じ、三塁ゴロ。
プレシーズンとはいえ特別な試合。結果にこだわると臨んだ一戦だ。がんばろう!日本‐選手と一体となった客席に、ため息を残したままでは終われなかった。
新井の熱意がチャンスを引き寄せた。リードは2点。シーズンならダメ押しを課せられる分岐点で、福田の直球を低い弾道で中前にはじき返し、前打席の借りを返した。
試合前に両軍選手によって行われた募金活動。この日予定されていたメンバーに前日参加した新井の名前はなかった。
それでも志願して気温7度の寒空の下、ウインドブレーカーをまとわず懸命に支援を呼びかけた。
先月24日に開幕問題が決着した。3省庁を訪問するなど激務で憔悴しきった選手会会長の打撃は影を潜め、翌25日の広島戦までの実戦で45打数4安打(・089)。
大不振に陥ったが、難題から解放されると体調も一変。26日以降の4試合は16打数8安打と完全に上昇気流に乗った。
打席に入るたび、新井会長にひときわ盛大な歓声が注がれた。9日後に控える4・12開幕へ、新井は野球界の象徴となるべく準備を進めている。