※『ヨリミチ』楽曲における勝手な解釈+妄想補完文

※緑青さんと言いますか倉安要素を多大に含みます。苦手な方は特にご注意

※緑さん視点・イメージは20代後半頃

エンドレスイチャイチャベタベタ甘々

 

 

 

 

 

 

何事にも一途で一生懸命で、結構頑固なところもある、俺の恋人。

そんなヤスが最高に格好良くて可愛くて。

愛しい気持ちは日々更新中。

 

ただ、彼はあまりにも真っ直ぐ過ぎて。

時折、自分で止まれなくなる事もあるのだ。

そのまま走り続けたら危ういというサインを、ヤス自身が気付けない。

いいや、うっすら察しているくせに、停止する事を躊躇っているのだ。

 

だから、そんな時はそっと、俺が横から引っ張ってしまう。

 

寄り道上等。

たまには逸れてみるのも、面白い発見が有るものだ。

多少の遠回りだっていいじゃないか。

やりたいことがあるのなら迷わず突き進んでくれていい。サポートも惜しまない。

けれど、自分のことも愛してやって欲しい。

 

ヤスは自分に厳しいから、俺が思い切り甘やかしてやるのである。

 

 

 

* * *

 

 

 

某日・安田宅。休日を揃えての、穏やかな朝。

とはいえ、既に昼に近い。

少し遅めの朝食を摂った後、リビングでまったり和みつつ、他愛も無い会話を交わす時間。

 

俺の肩にこてんと頭を預けながら、ヤスが呟いた。

「…なんか、また眠ってまいそう」

「寝てもうてもええよ、適当な時間に起こしたるから」

「ん…せやけど」

僅かに目を伏せると、その小さな手が俺の服の裾を掴むのだ。

「折角おーくらが休み合わしてくれたのに、寝てもうたら勿体無い気ぃして」

「まぁた可愛えこと言うし」

 

本来ならヤスはこの休みにまで、諸々ギチギチに詰め込んで消化しようとしていたらしい。

それに待ったを掛けたのが俺。

急遽休みを調整し、昨晩は強制的に足腰立たなくさせてみた。

正直な話、こうして熱を持って触れ合ったのが約一ヶ月振りという事も有り、相当盛り上がってしまった訳で。

「…誰かさんのせいでヘロヘロやもん」

「ヤスが可愛過ぎて理性溶けたわ」

照れ困ったような顔が揺れ、仕返しとばかりに此方に思い切り体重を載せて来る。

しかし、ちっとも重くないどころか、むしろ密着感が俺得なだけ。

「ごめん嘘や、めっちゃ気持ち良かった…」

「ヤスのトロけ具合、ヤバかったもんなぁ」

「言わんといてやぁ…」

このひと月近く、お互いバタバタしていた所為もあるが。

これまたお互いに肉体的にも相性が良過ぎる事を自覚し、あまり頻繁に求めては相手の負担になると遠慮してしまった面も。

しかし、それは余計な気遣いであったらしいと確認し合うに至る。

 

「あんなぁ…俺、欲求不満っちゅう自覚無かってんけど、やっぱアカンかった、おーくらとしたかったんやなぁって」

昨晩に思い知らされたと、自らの下腹を撫でていた。

本人は無意識での仕草だったようだが、それがゾクリと惹かれるほどの媚態に映ったのだ。

「コラ、直球か」

「──…おーくらは?」

真っ直ぐな視線が、此方を射貫く。

『大倉は俺と気持ちイイことしたいって思ってくれてた?』とでも甘く問うように。

 

肯定に決まっている。それを言葉にするのすらもどかしくて、少々荒々しく彼の唇を奪っていた。

だいぶ油断していたらしく、驚いて肩が跳ねるが。

ヤスも器用な奴なのだ。大胆に重ね返してきては、応戦振りがいい意味で大人げない。

捩じ込まれた舌先も絡み、頭の芯から心地良く痺れていく感覚…。

ぴたりと身体を擦り寄せては、先程よりも濃い熱を帯びた双眸に引き込まれる。

 

「今日は一日ヤスのこと甘やかしたるつもりやってんけど」

これはお仕置きが必要だろうか。

俺をその気にさせるのが巧くて困る。

「んっ…足りひん」

「やっぱ欲求不満気味やったん?」

「…おーくらが足りひんかった」

強烈な誘惑に眩暈がする。

つい数時間前にあれほど激しく貪り合ったのに、底無しの欲望にも我ながら呆れるけれども。

こんなヤスを目の前にして、自分を制する事が出来るほど聖人では無いのである。

 

「もっかいベッド行く?それとも、風呂直行しよか」

「おフロは声響いてまうから嫌やぁ…」

そのような会話をしながらも、既に彼を抱きかかえていた。

 

勿論、行先はバスルームである。

 

 

 

* * *

 

 

 

「ふぁ…ちょい逆上せた」

「声ガマンできてへんとこ可愛かった」

「…今日のおーくら、優しいのかドSなのか分かれへん」

たっぷりじっくりねっとり攻めさせて頂いて、彼の泣き顔を堪能した。俺の特権。

 

恥ずかしいと口にする割に、積極的に身を委ねてくれるし。

焦らしてやると、我慢しきれずに自ら腰を揺らめかせている事にすら気付いていない。

更には・普段なら、見えやすい個所へのキスマークは駄目だと主張するのに。

今日は彼自ら、「つけてもええ?」なんてお伺いを立てる煽りっぷり。

ヤスの中にも、俺に対する独占欲のようなものがあるのかと思うと、仄暗い喜びを得ているのは内緒。

 

その後結局、揃って軽くお昼寝したりして。

…アレな意味で体力を削り過ぎた。

眠りに就くまでの何気ない会話も和む。睡魔混じりの、彼の気の抜けた笑顔も可愛いったらない。

 

気付けば、あっという間に夕方で。

夕食は一緒に作ろうか、なんて約束をしていて、並んでエプロン姿。

献立は、それぞれ好きなもの+お酒に合うメニューを提案しまくったら、だいぶ豪勢になるだろう予想。

 

ふと彼の視線を感じて顔を向けると、優しい笑みが返ってきた。

「…ありがとう、おーくら」

「え、なんの話?」

「俺が最近無茶してるように見えたから、ブレーキ掛けに来てくれたんやろ?」

いつもごめんな、なんて零すから。

思わず調理の手を止めて、横から抱き寄せるように腕の中へ収めていた。

「俺は、ヤスとイチャイチャしたいっちゅう自分の欲に忠実やっただけ」

「ふふっ、そんなんでもうれしい」

抱き締め返しながら、ヤスがうっとり目を細める。

「俺なぁ、おーくらとヤラしいことするの好きやねん」

「…今日のヤスくんは直球勝負なん?」

 

辿々しく紡がれる言葉は、『上手く表現できないんだけど』的な呟きを交えつつも、彼の想いはちゃんと伝わるのだ。

──抱かれるとき、気持ち良過ぎて怖いくらい、相性が良いことも勿論嬉しい、と。

──それ以上に、ただ欲望を満たす為だけの行為じゃなくて、大倉から『深く愛されている』感が幸せでたまらない…とまで。

「俺のこと雑に扱うたりせえへんやろ?ホンマに大事にされてるなぁって」

「そんなん当たり前やろ」

「おーくらのそういうとこ、好き」

ふにゃりと笑う彼が愛しくなるばかり。

 

そんな事を言われたら、今後回数も頻度も増し増しになるぞと伝えてやると。

「ええよ?」なんて、望むところだと言わんばかりの口調に興奮してしまった。

「俺も『好き』って全身で伝えたいって思たら、どんどんエロいことになってもうてる自覚はあるんや…ソコはその…ご了承頂きたいと申しますか…」

ごにょごにょと語尾が薄まりながら、今日一番の照れ顔。

何だそれ、やっぱり俺得だろ。

 

「俺もヤスの家の近くに引っ越そかな」

離れ難くなる、という感情がつい声に出ているし。

会いたいという瞬間に、もっと早く駆け付けられる距離に居たい。

けれど束縛まがいのは嫌だろうから、あまり欲張ったことは考えずにと、自らを諌める。

殆ど独り言であったそれに、ヤスが悪戯っ子のような調子で反応するのだ。

「そのご新居に、同居人なんぞはいかがでしょうか」

「…ヤス?」

「おっきなベランダと、お酒いっぱいストックしとけるスペースがあるお家やと嬉しいなぁ」

さらりと自身の希望も混じえてくるし。

…これは、つまり?

驚いて固まる俺に、ヤスが背伸びをしての可愛いキスが贈られた。

 

「夕飯の前に、おーくらに食べられとうなってもうてる」

「また食ってええの?」

責任取ってね?と、妖美な視線が俺を虜にする。

…あぁもう、最高か。

底無しの欲に溺れていく心地良さ。

年々色気を増す恋人に、振り回されるのが快感になってきた。

 

密かに願っていたのだ。

ヤスにとって俺の存在が、寄り道ではなく帰る場所になってくれたら、どんなに嬉しいかと。

善は急げ、お互い・行動力には自信アリ。

週末、再び休みを揃えては、部屋探しに奔走する時間さえも幸せだったのである。

 

 

 

 

 

-貴重なお時間を頂き、有難うございました。