大好きってわけではないのですけども、何気に好きなんだよねっていうシーンについて思ったことを書いていきます。


僕のお気に入りは、この第33話の査問会のシーンです。


前半のクライマックスを迎えて、このあと大きく展開が動いていくわけでして。そのためにはここはとても重要なところだよなと。




部屋に入ってきて、サザーランドが机の上にファイルを放る。

この時点で、うわぁ、コイツ嫌な感じだなって印象を受けるわけですよ。だって、如何にも「あぁ面倒くせぇな」って感じなのですもの。


サザーランド「なかなか見事な戦歴だな、マリュー・ラミアス艦長」


大変な思いをしてここまできたのに、労いの言葉はなく、いきなり皮肉の言葉をかける。とことん嫌な奴です。


まぁ、この前の回でアークエンジェルは歓迎されておらず、サザーランドらにとっては厄介な艦であり、邪魔者という感じなので、労りの言葉何てかけるわけがないんですよね。


マリューさん「普通の子供にできることではありません。彼はコーディネイターなのではないか?という疑念は、すぐに抱きました


「コーディネイターだから」という理由だけでは、モビルスーツは動かせません。それは、第1話をみればわかることです。


キラが工業カレッジの学生で機械関係を学んでいたこと、機械やデータ解析などを得意としていたからです。だから、その能力が極めて高いのですよ。


コーディネイターの中でもキラの能力は非常に高い。イザークらのOSを書き換えているシーンと比べると、それがよくわかるかなと。キラは敵を目の前にした戦闘中、瞬時にやってのけたわけですから。


サザーランド「"不運だった"としか言いようがないが…。だが、ストライクはその際、何も知らぬ民間人の、しかもコーディネイターの子供に預けられたままであり、君はそれを十分にコントロールし得なかった。そうだな?」、「ただ、コーディネイターの子供など居合わせたのが"不運"、というところかな

マリューさんたちは衝撃を受けます。


サザーランドは"不運だった"何て言ってます。しかし、マリューさんたちからすれば、"幸運だった"、ですよ。彼らは直接的には言ってないけども、キラに感謝していますよ。キラのおかげだって。


何故ならば、キラがあの場にいたから、ストライクに乗り込んだからこそ、ストライクは奪われずに済んだのですから。いなかったらストライクも奪われており、マリューさんたちは間違いなく死んでいました。


マリューさん「そんな!彼がいなければ、我々は…」

感謝するどころか、いたのが不運、いたのが悪い、いたからこうなったなどと言われてはマリューさんは黙っていられませんって。


サザーランド「だが、いなければヘリオポリスは崩壊しなかったかもしれん」、「ただのナチュラルの子供だったならば」、「ストライクになど乗っていなかったならば、結果は自ずと違っていたはずだ」


確かに違う展開になっていたでしょうよ。いや、もうすごいよね。「それだけコーディネイターが嫌い」、「とことんコーディネイターを悪と見なしている」ところが。


サザーランド「だが、彼はそこにいた。そして、彼をストライクに乗せてしまったのは君だろう?ラミアス小佐?」

つまりは、ストライクなぞ守ろうとせずに奪われたままにしておくべきだった。なのに、マリューさんとキラはそれに乗ってしまった。ならば、そのままマリューさんとキラはザフトにストライクと共に破壊されるべきだった。


つまりのつまり、「お前らは死ぬべきだった」ということですよ。


サザーランド「我々は、コーディネイターと戦っているのだよ。その驚異的な力と。民間人の子供であろうが、コーディネイターはコーディネイターなのだ。それを目の当たりにしながら、何故それに気づかない?」


黙って聞いているアークエンジェルクルーたちは、もう怒り心頭です。

そりゃそうだよね。「死ね」、「死ぬべきだった」何て言われているのも同然なのだから。


起こったことが全てであり、事実です。なのに、事実を事実として受けとめようとせず、「もし」何て言い出し、自分らが正しいように言いたい放題。そもそも、血のバレンタイン何て起きなきゃ戦争になることもなかったわけで、それと同じこと。自分たちのことを棚に上げて、よくもまぁそんなことが言えたもの。


キラは確かにコーディネイターだけど、アークエンジェルクルーたちは仲間として見ていることがわかるので、そこは嬉しかったりします。


サザーランド「奴らがいるから、世界は混乱するのだよ!」

コーディネイターに対する偏見と、排他的な考えがすさまじいです。完全にブルーコスモスです。


マリューさんたちが、「地球軍」という組織に対して疑念を抱いた瞬間だったと思います。


そして、ムウさん、ナタルさん、フレイに転属命令が下ります。


必要、有用な人材は引っこ抜き、あとはいらないから切り捨て、捨て駒要員とする。捕虜のディアッカもいらない。アークエンジェルは、彼の棺桶となるって感じですね。


そして、「何も知らないまま」、「何も知らされないまま」、アークエンジェルは地球軍本部を守るために出撃し、必死に戦うわけで。


「守るもの」何て何もないのに、ですよ。


そこに至るまでの過程である査問会と転属命令。マリューさんたちの地球軍に対する違和感と疑念の抱き始め。そして迎えるこのあとの展開と選択。だから、僕はこの査問会のシーンがお気に入りだったりするのです。すっごく腹立たしいのですけどもね。