ディアッカとミリアリアのお話しを書いてます。
ー友との再会ー
ザフトには戻らず、キラたちと共に戦うことを決めたアスランとディアッカは、宇宙へと上がる。地球軍との戦闘中、ザフトがいることに気が付いたムウさんと共にメンデルの反対側へ向かうディアッカ。そこにいたのは、クルーゼのシグーとイザークのデュエルだった。
イザーク「生きていてくれたのは嬉しい。が、ことと次第によっては、貴様でも許さんぞっ!」
キラたちと共に行くということは、かつての仲間と敵対するということ。しかし、ディアッカはイザークのデュエルを前に、撃つことが出来ない。ディアッカはイザークに呼びかける。しかし、イザークからすればディアッカは裏切りである。それを改めて実感させられ、ディアッカは返す言葉がない。
ディアッカ「コイツは俺に任せてくれ」
そこへ、キラのフリーダムが駆けつけてくる。イザークが機体の向きを変えたところで、ディアッカのバスターが間に入って制する。やめろと。キラに対しても。それは、戦ってほしくないということだ。
キラ「わかりました。でも、僕とアスランみたいなことには、ならないで下さいね」
過ちを犯した者としての重い言葉である。友と友が敵味方に分かれ、戦い、殺す。相手が友であろうと、"敵"ならば撃たねばならない。それが戦争。しかし、そんなことは間違っているのだ。キラとアスランの関係、殺し合い。その過ちを、自分までもが犯すわけにはいかない。だから、ディアッカは戦いではなく、話し合いを求めた。「銃を向けずに話しをしよう」と。
イザーク「"敵"のそんな言葉を信じるほど、俺は甘くない!」
が、イザークは手に銃を持ち、向けてくる。これは一筋縄ではいかない相手だ。だが、それでも言葉を尽くす以外に方法はない。
ディアッカ「俺はお前の"敵"か?」
違う。"敵"じゃない。だが、ディアッカはザフトに戻ってこなかった。そればかりか、ストライクやフリーダム、足つきと行動を共にしている。これを裏切りと言わずに何という?
ディアッカ「プラントを裏切ったつもりもない!」
イザークの"敵"になったわけでもなければ、プラントを裏切ったつもりもないと返すディアッカ。イザークは信じることは出来ない。
ディアッカ「けど、ただナチュラルを…黙って軍の命令に従って、ただナチュラルを全滅させるために戦う気も、もうないってだけだ!」
"敵"にも顔があることを知ったから。"敵"だから、命令だからと"敵"を撃つことは、悲しみを一つ、また一つと増やしていくということ。それが正しいと信じていた。しかし、それは憎しみも同時に生み出し、連鎖していってしまう。お互いを滅ぼし尽くすところまでいってしまう。それでは終わらない。自分は、それを教えてくれたあの少女と、正しいことをしようとしている彼らと共に戦い、守り、防ぎたい。だから、ナチュラルを全て滅ぼそうとしているザフト軍では戦えない。
ナチュラルを全滅…。イザークは衝撃を受ける。自分たちはプラントを守るために、そして、戦争の早期終結を願って戦っていたはず。だが、自分たちのしている、また、しようとしていることをハッキリと言われてしまった。
軍の命令に従って"敵"を撃つことがプラントを守り、戦争が終わると、それが正しいと信じていた。しかし、そうは思わないから、ラクス・クラインにアスラン、バルトフェルド隊長までもがザフト軍から離れていったのだ。ディアッカも。
ディアッカ「フリーダムのパイロット、あいつが前のストライクのパイロットさ。あいつもコーディネイターだ。アスランとは、ガキの頃からの友達だってよ」
イザーク「!…なんだと…」
幼い頃からの友達同士が戦う。敵である以上、友達でも撃たねばならない。そうしなければ守れないからだ。
それが戦争。
アスランはストライク(キラ)は俺が撃つ、倒すと息巻くイザークやディアッカを、ストライクに銃口を向けて追いかけ回す二人を、一体どんな気持ちで見ていただろうか?
命令に従って"敵"を撃つのが軍人の務め。だから、「やめてくれ」何て言えなかった。任務との狭間で、苦しかっただろう。だが、ついに彼は討った。自らの手で、幼い頃からの友達を。
キラが敵だったから。自分は軍人だったから。
それだけの理由で全てが正当化されてしまう。それが戦争である。が、それは間違っているのだ。
キラ「早く脱出しろ!もうやめるんだ!」
そんな戦争を止めるため、滅ぼし合うことを防ぐため、無意味な戦いを止めさせるため、あのフリーダムはあの時から行動していたのだ。戦いを止め、一人でも多くの兵士たちを救おうと。それは、自分も含まれる。アスランたちはそれに理解を示し、賛同したということだ。ディアッカも。
ディアッカ「俺には奴らほどの業も覚悟もねぇけどさ、見ちまったから。あいつら見て、アラスカやパナマやオーブ見て、そんでもまだザフトに戻って軍の命令通りに戦う何てこと、俺には出来ねぇよ」
ミリアリアの涙、向けられたナイフ。お互いに人を人とも思えなくなっていく残酷で残虐な戦い。身勝手で理不尽な理由の侵略。しかし、ナチュラルもコーディネイターも同じ命ある人間なのだ。自分にはもう、命令に従ってただ"敵"を撃つ、そんな戦いは出来ない。
ディアッカ「ザフトじゃなきゃ"敵"だって言うんなら撃てよ!」
イザーク「騙されてるんだ、お前は!」
ディアッカ「さぁて、どっちかな?そりゃ」
いい加減、イザークはそろそろ自分で考えるということをしてほしいものだ。
反対にディアッカは命令ではなく、自分で考え、自分で決めた道を行く。滅ぼし合う戦いを止めるために。
ミリアリアとの出会いと交流がディアッカを変えた。軍人としての価値観を壊すことになったあの出来事を、ディアッカは決して忘れることはないだろう。
ー食堂での一コマー
ミリアリアが食堂へ向かうと、ディアッカが一人でいた。いつもと様子が違う。(それはイザークのことだ)
様子が違うことに気付き、ミリアリアは食堂へと入っていく。
このシーンはセリフがない。そして、ミリアリアが食堂へ入ったところまでしか描かれていない。僕としては、ディアッカの様子がいつもと違うことに気がついたからミリアリアは入っていったと思っている。ディアッカは入ってきたミリアリアに気がつき、何でもねぇって言わんばかりにいつもの調子に戻ったんじゃないかな何て思っている。お互いに少し軽口でも叩き、話したことで気が紛れたんじゃないかなとか。ここは想像でいくらでも楽しめるシーンですね。
ー嬉しい言葉ー
いよいよ最後の出撃。それぞれが大切な人に気持ちを伝え、誓い、出撃していく。
ディアッカ「ジェネシスと核と、戦いながらどっちも防げったってさぁ」
ディアッカがぼやく。
ミリアリア「じゃあやめれば?」
ディアッカ「えっ?あっ、オイ!」
本気で言ったんじゃないのに。ただ、この暗く重たいこの状況や雰囲気を明るくしたかっただけ。
ミリアリア「嘘よ。ごめん」
ミリアリア「気をつけて…」
戦争に対する認識の低さと甘さによって失われた命。それはトール。理解した時があまりに遅かった。悔やんでも、もう戻ってこない。
今は戦争、戦場に出ること、戦場がどんなところか、ちゃんと理解できてる。
でも、もう誰かが戻ってこない何て嫌だから…。
ディアッカとの出会いは最悪の一言で。でも、あの出来事や交流からコーディネイターに対する畏怖の念が消えて、同じ人間なんだってわかって。皮肉屋なところがあるけど、悪い奴じゃないことも知って。
ぼやくのも本気で言ったわけではないことはわかってる。この空気を少しでも明るくしたかったんだろうなって。あの出来事から気を遣ってくれて、不器用だけど、良いヤツ。
でも、私の心の中にはトールがいる。そんなすぐに忘れることは出来ない。悲しみも癒えてない。だから、すぐに別の人にってなれない。他の人は考えられない。
だから、ごめん…。どうしても冷たく意地悪な態度になってしまう。
でも、「気をつけて」。
これだけはちゃんと素直に言いたかったの。
もう誰かが犠牲になって帰ってこないのは嫌だから。
ディアッカ「!」
いつものように、軽口か意地悪な言葉が返ってくると思っていた。だから、それは予想外だった。
「気をつけて」。そんなこと初めて言われた。とても嬉しい言葉だった。これまでの賞賛の言葉などの何よりも。
自分も、他のヤツも、誰かが死ぬ何て思っていなかった。やられるわけねぇって。だから、身を案じる言葉何て誰も言わなかったし、言われることはなかった。
自分の身を案じてくれる。無事を祈ってくれる。それがこんなに嬉しい何て。
ディアッカ「サンキュ」
ありがとう。君と出会えなかったら、俺はずっとあの時のままだった。
必ず生きて帰ってくる。
そして、ようやく戦いが終わる。
ミリアリアのそばにいるあたり、ちゃっかりしている。
戦後、ディアッカはプラントへ戻っていく。軍事裁判を受け、ザフト軍へ復隊する。その後はDestinyの通りである。
ミリアリアは、癒えぬ悲しみの中にいることが「星のはざまで」で描かれている。
Destinyでは残念でしたが、二人がまたどこかで再会して軽口叩くところがまたみたいですね。
ディアッカとミリアリアのお話し、終わり。
次回は、悲劇に繋がってしまった要因について書いていきます。