私の主人は、生まれつき色弱です。
遺伝です。
赤緑色弱、と子供の頃に学校の検査で言われたそうです。
私達の時代には、この色弱検査は普通にありましたが
今は、ないんですよね
なんでなんだろう
差別？ってこと希望者にはするみたいですが
そもそもそんな検査知らなければ、希望も何もないですよね
自分の子供が、そうであるかないか知っておくことは
とても重要な事だと私は思うんですけどね
自分が色弱だと子供のころから知っていた主人
多くは不便がないけれど、やっぱり微妙な色などの区別ができず
理系にいた主人ですが、例えばリトマス試験紙などの
青紫がわからなかったりして、自分で無理だと判断して
文系に自分で変更したと言ってました。
ある程度大きくなった主人に対して、色弱だった事を忘れたのか
治ったと思ったのか
理由も聞かず、勝手に変更したことについて、義母に随分叱られたそうです
（まあ、説明しないのも悪いが）
義父は全く無関心なので、自分の息子が色弱だったことすら知らなかったと思う
この仕事に就いてから、やっぱり困ることがいつもあり
専門的な話になってしまいますが
溶接などの時に飛び散る、火花の色が、赤とか白とか青とか
そういう色の判断がつかなくて困ったり
材料の色がわからなかったり・・・・・・
自分で回避できることは別の方法で（例えば磁石がつくかつかないかで判断したり）
回避してきていますが、「これ何色？」と聞かれることは時々あって
「何色だよ」と答えますが「ふ～ん」と言う感じで
私も、主人が、どのように見えてるのかがわからないので
例えば、赤だよ、と言っても
私と同じ赤色が見えてるかどうかは、わからないんですよね
基本的に、はっきりした色は本人なりに見えてるようで
私と同じ、赤だったり、青色と答えてるんですが
それが私と同じ青色が見えてるかは、誰にもわからない
大分前に、海外で色覚異常の人のためのメガネがあると知って
色々調べたのですが、ネットで買うことはできるけど
その人に合うかどうかはわからないので
怖くて買えませんでした
試すという事ができないので、それは危険だな～と
当時日本には、まだ、そのようなメガネはなく
お値段も安くなかったので、断念
でも、その眼鏡をかけた方達は、良く見えるようで、皆さん涙されていて
主人にも、見せてあげたいなあ‥‥‥と思う気持ちのまま数年が過ぎました
今年、いつものように東京駅周辺の病院で検査だった主人
その道すがら、眼鏡屋さんの前を通った時
「貴方には、これが〇〇に見えますか？」と大々的に張り紙がしてあったようで
〇〇にまさに見えた主人
色覚異常のメガネがあるようだ。という事を知りました
それを知った主人は、検査をうけてみたいな～ と言うようになり・・・・・・
言うけど、自分で行動を起こさない人なので
私が、色々問い合わせをしてみました
メガネスーパーさんで、その検査ができるとのこと
しかし、各店舗にそれがあるわけではないので
予約を入れて、検査の機械をそのお店に運ぶ
という段取りが必要なため、一度は「いいや」と言うので、そのままだったけど
やっぱり気になる
なので、うちから近いメガネスーパーさんに連絡を入れて
予約しました
一週間くらい前に予約を入れ、お店に
目の前にある、よくある検査のやつ
ちなみに、うちの主人は、これ
全部当てはまります
最初にこれをやったのですが、
私には見えてる数字が、主人には見えない
っていうか、全然違う数字を言うので
逆に、どこにそれが隠れてるの？って私が凝視しちゃいました
他にも、色々検査しましたが
お店の担当の方は、とても親切丁寧に対応も、説明もして下さいました
検査と説明で、小一時間かかりましたので、本当にありがたいです
最初の電話予約の時も、「レンズだけで9万円しますので・・・」
と言ってくださって
「それは、検査して、いらないかな、と思ったらお断りしてもいいんですか？」
というと「勿論です
」と言ってくださったし
何より、普通の検査ではないので、検査だけで3000円かかるという事でしたので
逆に、検査代取られた方が、断りやすいから良いな…と思いました
そして・・・自分に合うレンズがわかりました
主人は、赤緑ですが特に、赤が足りないようです
普通の人が見たら、びっくりするようなピンクのレンズ
それをすると、主人・・・・・・見えるんですよ
さっき見えなかった、検査の数字が
私もびっくりしました
「検査の結果だと、もう一段階上のレンズなんですけど
これだと、ちょっときついと思うんですよね・・・」
と比べてくださったりしました。
そして、「良かったらちょっと、外に出てみてください」
と言われて、眼鏡を持って外にでる私達
外は、小汚い（すみません）落ち葉が張りついてるような木と
緑と黄色に色づいてる木などがあり
それを見るように、お店の方が言いました
その眼鏡をした主人
「あ・・・・・・」・・・と・・・・・・
「あ・・・見える、あ～そうなんだ。こうやって見えてるんだ・・・」と
この時主人は、感動したそうです
この時の主人を見て、私は、自分が思ってるよりも
私と主人の見える色が、やっぱり違ったんだと思いました
今までも、色に関する事
例えば家の壁紙だったり、洋服だったり、色の選択はすべて私に委ねられました
私は、別にそれが苦だったわけじゃないし
むしろ、主人の手足になれるなら、喜んでしてきたことの一つではありますが
自分で選べることができる、という事が、一つ増えるのは
それはとても幸せな事だと思いました
席に戻って、主人が何となく心が躍ってるのが見て取れた私
主人が店員さんに「これおいくらですかね？」と尋ねる
「レンズだけで9万円です」とおっしゃって
「フレーム込みとかじゃないんですね？」と
その価格におののき、一瞬下をみました
そして、私の顔を見たので、瞬時に
「欲しいと思うならいいよ！遠慮はいらない！還暦のお祝いだ！」と言うと
「これからの人生変えてみようかな…いい？」と・・・・・・
私はなんだか胸がいっぱいでした
何をもって普通というのか、人それぞれではありますが
普通とは奇跡だよ本当に
当たり前じゃないんだ
「これはいつごろから売られてるんですか？」と聞くと
「3年くらい前ですかね」とおっしゃってました
「海外ではもともとあったんですけどね、結構ギラギラしたものなんで・・・」
という
私が調べていた眼鏡の事をおっしゃっていました
良かった・・・あの時買わないで・・・
長く使うでしょうから、ちょっといいフレームや保険にも入ったし
高額なので消費税もそれなりで
結局17万円弱のお会計
しかし、息子と娘と私の母が、還暦祝いに賛同して
それなりの金額をだしてくれました
愛を感じます
出来るまで一週間
帰宅した旦那は、少々興奮していたと思います
あまり感情を表に出す人ではないので、私のようにわかりやすくはないのですが
静かに心がずっと踊ってるのを、私は感じました
そして、昨日、ついにその眼鏡ができてきました
今まで自分で認識していた赤が、違う赤色だったりするので
脳がちょっと混乱したりもするようです。
色々な色が印刷されている物も頂き、暇なときに見て
自分の感覚と脳の感覚を、一致させることも必要な作業のようです。
色々な説明を受け、車に乗り込む
すぐに「え～ナビってこんなに色がカラフルだったんだ」
「信号の色って、こんなに鮮やかだったんだ」
「セブンの看板は、こんな色だったんだ」と
次から次へと感動が止まりません
わたしは、うるうるしてしまいましたが、そんな自分の感情よりも
旦那の感動を一緒に感じたくて、外の景色に一喜一憂しながら話をしていました
家に戻って、テレビを見ていて
紅葉のシーンを見ながら「すごい真赤だ」と、今まで見てきた紅葉とは
全く違う世界の赤を感じ、海の青さが、何種類もあることを感じて
一日中感動の嵐でした。
本当なら、その眼鏡をかけて
紅葉でも見に行きたいところですが
予定が色々詰まっていて、なかなか行けそうにありません
来年まで待って、行きたいと思います
ただ、デメリットもあり
すべてにおいて、同じように見えるかと言ったら
どうもそうではないようです
白いものは、やはり、どうしてもピンクがかってみえてしまうし
薄い色、例えば人の肌の色なども、ちょっと違うように見えるらしく
眼鏡がない方がいいような感じでした。
その人にとっての、微妙な色弱の色まで調整するのは難しい
これから先、技術が進歩すればもっと、いいものが出てくるかもしれないけれど
いまは、これが最先端のようです。
需要が少ないでしょうから、お値段も高いです。
これが一番のネックでしょう。
でも、主人のような色弱の方の世界が広がるといいな、と心からそう思っています。
この眼鏡を開発した人に、心から感謝の気持ちでいっぱいです
そして、やっぱり、人は「この色のサングラスかけてるって・・・？」
というや、ただ単に派手なおっさんなのか、という感じはあるのでしょうね
ピング色の、レンズをつけたサングラスをしてる方は
色弱の方がいますので、広く知って下さったらいいな、と思っています
