毎朝かかさないコーンフレーク入り牛乳をすすり、時間を確認する。
すでに時刻にして二分遅れ。この二分とは徒競走で靴が脱げるレベルの大惨事である。
急いで自転車を走らせる。駐輪すれども時間はギリギリ。
「走れば間に合うかな」
と軽い気持ちで準備体操もせずに全力疾走をかます。
そもそも体力からして無いのだが、なんとか電車が来るまでに辿り着いた。
ここからが地獄である。
満員電車を体中で感じていると、腹の内から込み上げる吐き気を覚えた。
「ここでかよ……」
愚痴をこぼす余裕など、0ー8で後半に入ってしまったサッカーチームのごとく微塵もありはしなかった。
正に崖っぷちでコサックダンスを踊るかのような危機感に汗がドッと溢れ出す。
ここで吐こうものなら満員電車殺しなどという不名誉な称号が付けられかねん。
ここまで書いていてもまだこの地獄さ加減が理解出来ないと思う。
例えるならば、一瞬でも気を抜けば人生終了という……ってそのままじゃねえか!
つまり、肩から力を抜けば崖の底に落ちてしまうという絶望的状況だったのだ。
二つ目の駅。ここで身の周りの状況を理解する。
待て、周りは女性ばかりではないか?
後ろは女子高生がいた。間違いない。ここで吐けば人生終わるどころの騒ぎではない。絶対消えないトラウマを植えられることも無きにしもあらずだ。
もう少しで着く!
次は腹痛まで襲ってきやがった。今までの人生でもベスト3に入る危機。
着いた……。
置いたカバンを持つ手が震え、視界がぼやける。
結果的には、乗り換えの電車には無事辿り着き、座ることに成功した。
頭痛に腹痛、吐き気という苦痛トリプルが収まりつつある。
お茶を飲み、水分を補給しつつ頭を冷やす。すると、襟まで汗だくなのが肌の生温さで分かった。体操服では感じない不快感が首を撫でる。
イヤホンの音楽が聞こえるようになった。
まったく、どこまで窮地だったのやら。
俺は何事も無かったかのように電車から降り、改札口をくぐった。
学校までの道のりがいつもより長く感じる朝であった。
