『ちょっと…ヤバイことになってて。金曜に出る週刊誌に…載ることになった。俺らのこと。』
「え⁉︎俺らって??」
『俺とアコのこと。ごめんな。全っ然気付いてなかった、張られてるなんて。完全俺の不注意。ごめん。』
「謝らないで…。あの…その事って、詳しく教えてもらえるの…かな、あたし。」
『うん…』
カズさんは、週刊誌に何が載るのか、どういう経緯で載ることになったのかなど教えてくれた。
実は、私と出会う前からカズさんは目を付けられ張られていたらしい。
そこで、カズさんが私をストーカーから守ってくれたあの時。最初の写真が撮られた。
その後も私が何度かカズさんのマンションに出入りしているのが目撃されていて、
そしてこの間の飲み会帰りの時。私とカズさんが寄り添って歩いてマンションへと入っていく写真が撮られた。
事務所に呼ばれ事情を聞かれたカズさんは、
同じマンションの住人とたまたま一緒になっただけ。ストーカーみたいのに付けられていたり、酔ってフラついていたので助けた。
その人もそこに住んでるんだからマンションに出入りしてるのは当たり前。と説明したそう。
事務所側も一応その説明で納得?したみたいではあるけれど、ただ、ほとぼりが冷めるまでは私達はこのマンションにはいない方がいいだろうと。
事務所側がホテルを用意してくれるので当分はそこで過ごすか、一旦実家に帰るか、と。
「ホテル…。そこにカズさんは…いな…いよ、ね。」
『うん…。取り敢えず俺も、どっかの別のホテルに避難すると思うし。事務所の監視も強くなるから…』
「どの…くらい?」
『んん…わかんない。』
頭の中がグルグルしてきて思わず目を瞑った。
胸の中から何かが込み上げる。
鼻の奥がツンとする。
…泣いてはいけない。
こんな事があるかもしれない。そんなの初めから分かってたこと。覚悟の上だ。
それでも、想像と現実は違う。
ダメージはかなり強かった。
『アコ…ごめんな。辛い時にお前のそばにいてやれない。けど、ちゃんと守るから。』
「カズさん、ごめんね。私があの日飲み過ぎたから…。だからこんな写真撮られちゃったんだよね。2人でずっと気をつけてたのに…」
『いや、何かしら見つけてやられてたよ、遅かれ早かれ。初めから…アコと出会う前から張ってたっつんだから。』
「『………。』」
暫しの沈黙を破ったのはカズさんだった。
『アコ…俺さ……。』
私の反応を待つように言葉を区切る。
「うん…、なに。」
目を数秒瞑りゆっくり開けると
『いつかは公表したいと思ってんのよ、お前との事、ちゃんと。』
真剣な顔で言った。
「公表って…」
『ちゃんとよ、アコのご両親にも挨拶して、事務所にも認めてもらって。アコの人生預かる覚悟、もうあるのよ、俺ん中で。』
「カズさん…。」
いつの間にか私の目には涙がたまっていた。
そんな私を照れたような顔で見て微笑んだカズさんは
『でも…』とまた真剣な表情で続けた。
『今回は違うって…今はまだ時期尚早だと思ってんの。タイミングってあるじゃん、俺らなりの。
けど、今回のことでやっぱり、メンバーのみんなには話しておきたいなって。』
「みんな…?」
『うん、あの…嵐の他のメンバーに。力になってくれると思うのよ、絶対。』
「カズさんがそう思うなら…。私にはよく分からない世界だから。」
『まあね、そうなんだけど。一応あなたの許可得てから…と思って。』
「うん…分かった。カズさん、ありがとう。」
そう言ってカズさんの胸に顔を埋めると、カズさんは優しく肩を抱いて左手で私の肩を暫くトントンしてくれた。
言葉がなくてもこうして触れ合っているだけで、お互いの愛を確かめ合っているようなそんな感覚がして、私の心を幾分か落ち着かせてくれた。