昨日は成人式でしたね。
成人の日に思い出すのが
茨木のり子さんの『自分の感受性くらい』という詩です。



自分の感受性くらい   茨木のり子


ぱさぱさにかわいていく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
何もかもへたくそだったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ





何年か前にどこかの学校の校長先生が
成人の日に生徒に贈った詩ということで
新聞だったかネットに載っていたのをたまたま見つけたのですが
初めてこの詩を読んだときに、すごくロックというか
衝撃だったのを覚えています。

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

って、なんかすごくいいなあと今でも思います。

詩の世界ってなんだか曖昧で私にはよくわからない分野なのですが、
こういう詩では、普通の文章よりガツンと伝わるものがあるように思えます。

というのも、さっきNHKのクローズアップ現代で
ポエム化する世界なんちゃらという番組がやっていて
聞こえのいいスローガンや、一見美しくても中身の伴っていない言葉など
違和感ありありな美辞麗句に私もほとほと飽きていたので
茨木のり子さんのこの詩をふと思い出したのでした。


美しい言葉に対応するのは行動と結果ですね。
両方を兼ね備えた実りある一年にしていきます。