「だから あたしみたく時代劇好きが昂じて剣道部のマネージャーになったわけじゃないもんね…」
下駄箱の前で靴からスリッパに履き替えて二人は二階の2Aの教室に入って行った
「おはよう 奈穂 彩」
教室に入ると二人にクラスメートが近寄ってきた
ゆいかと真理である
「おはよう ゆいか 真理 今から鞄だけ置いて体育館覗きに行くけど 来る?」
「えっ? 筧先輩 今日も朝練やってるの?」
とゆいか
「まだ確認してないけど…たぶん」
と答える奈穂に
「じゃ あたしも行く!彩も行くでしょ?」
と真理
「う…ん まっ暇だから」
彩の同意を受けて四人は連れだって教室を後にした
スリッパから靴に履き替え体育館まで駆け足で来ると入口に入りはしたが中へは入らなかった
奈穂の言う筧先輩とは奈穂より一年上で部の主将を努める猛者である
「ほら…やっぱり」
ゆいかが指さす方向に一人黙々と素振りを続ける筧の姿があった
「ステキだよね…背が高くてイケメンだし 学力もあって…」
と真理が言うと
「でも 生徒会長の三原先輩もいいよ…
あたし的にはあっちもツボって感じ?」
とゆいか
「そーかなぁ…あたしは絶対 筧先輩がいいと思う」
そこだけは譲れない奈穂
(だれでも一緒だよ…恭さまが一番)
とは思っても口にはしない彩だった
「そろそろ教室に帰ろうよ…授業が始まるし」
彩の言葉に渋々 三人は頷き 体育館を後にした
「ね…ちょっと先生達の話聞いたんだけど 何か今日 季節外れの転校生が来るって…しかも男だって」
と真理
「マジ? どんなヤツ?」
「知らないけど…期待しちゃわない?」
「まっ…現実は甘くないけどね…」
「言えてる!」
コロコロ笑いながら四人は席に着いた
暫くするとチャイムが鳴って教師の田中が転校生らしき人物と共に入って来た
「今日から同じクラスになる転校生の…えっと名前…は」
慌てて名簿を見る田中を見兼ねて
「転校生の苅野 朗と言います 仲ようして下さい」
と言った
(何であいつが転校生なのよ!)
クラスメートのざわつきとは別に
奈穂の胸には不安が広がった