東洋医学の数千年に及ぶ「ツボ療法」は、子供から大人まで
日常の不快な症状や痛みの緩和、養生に大変役立ちます。
体(身体)には、沢山のツボが点在しており、手軽にツボ押しが可能です。
ツボには、特定の重要な働きをする、要穴(ようけつ)があります。
要穴は、原穴・郄穴・募穴・兪穴・十要穴など様々な特定穴があります。
要穴は、複数のツボの組み合わせで構成され、より効果を発揮します。
経穴(ツボ)とは
経穴 (けいけつ) とは、中医学、漢方医学、経絡学の概念で、体内の異常に応じて体表の特定の部位に対応して現れるもので指圧、鍼、灸で刺激を与えることで体調の調整、諸症状の緩和を図るものである。
一般には「ツボ」とも呼ばれる。筋筋膜性疼痛症候群(Myofascial Pain Syndrome)におけるトリガーポイント(例えば腰痛の原因となる筋・筋膜内の好発部位)と大半が一致する。
経穴は、もとは中国の中医学に由来し経験的な知見により見出されたものである。重要な神経・血管・筋走行上に位置したり体性-内臓反射等で医学的関連があり、現在ではWHOにおいても治療効果が認められている。
中医学、漢方医学的説明では、経穴は「気と血」のエネルギーの通り道であるといわれる経絡上にあって、気血が出入りし、経絡が合流したり分枝したりする経絡状の重要なところである。
引用元:経穴- Wikipedia
様々な症状に効く万能ツボ「要穴=特定穴」、3回シリーズ
A.四総穴(しそうけつ) B.八会穴(はちえけつ) C.十要穴(じゅうようけつ)
今回は、C.十要穴(じゅうようけつ)を紹介して行きます。
十要穴(じゅうようけつ)
十要穴とは、➀合谷 ②曲池 ⇨ 顔・頭部の病
③後谿 ④風池 ⇨ 頭・項部の病
⑤足三里 ⑥内関 ⇨ 胸腹部の病
⑦殷門 ⑧崑崙 ⇨ 腰背・下肢の病
⑨陽陵泉 ⑩環跳 ⇨ 体幹・胸脇・膝部の病
の10個のツボのことです。
体の不快な症状を、10個のツボで主治する優れたツボです。
➀合谷(ごうこく)
顔・頭部の病
位置:人差し指と親指の骨が合流する部分から、少し人差し指側。
効果:原穴、頭痛、歯痛、のどの痛み、下痢、便秘、生理痛など。
②曲池(きょくち)
顔・頭部の病
位置:肘を曲げると出来るしわの外側部分にあるツボ。
効果:合穴、腕の症状全般、肩や首のこり、五十肩、歯痛、冷え性など。
*単独でも効果はあるが、組み合わせで顔・頭部の病により効果が期待できる。
③後谿(こうけい/ごけい)
頭・項部の病
位置:小指の第5中手指節関節の下、外側の陥凹部。
効果:兪穴、頭痛、肩こり、難聴、目痛、腰痛など。
④風池(ふうち)
頭・項部の病
位置:耳の後ろの骨と、後頭部のくぼみの中間にあるツボ。
効果:めまい、肩や首のこり、頭痛、鼻づまり、のぼせなど。
*単独でも効果はあるが、組み合わせで頭・項部の病により効果が期待できる。
⑤足三里(あしさんり)
胸腹部の病
位置:膝関節の外側、膝の皿の下から4横指下の部分にあるツボ。
効果:合穴、無病長寿のツボ、内臓機能の調整、食欲不振、胃痛など。
⑥内関(ないかん)
胸腹部の病
位置:手首の横紋の3横指肘側の、腱と腱の中央部分。
効果:絡穴、しゃっくり、循環器系疾患、気血の出入口、乗り物酔いなど。
*単独でも効果はあるが、組み合わせで胸腹部の病により効果が期待できる。
⑦殷門(いんもん)
腰背・下肢の病
位置:太ももの後面中央(お尻の溝から親指幅6本分下)部分。
効果:倦怠感、下肢の痛み・だるさ、坐骨神経痛、こむら返りなど。
⑧崑崙(こんろん)
腰背・下肢の病
位置:外くるぶしの後方のくぼみ部分。
効果:経穴、足首の痛み、ねんざ、関節炎、冷え、しびれなど。
*単独でも効果はあるが、組み合わせで腰背・下肢の病により効果が期待できる。
⑨陽陵泉(ようりょうせん)
体幹・胸脇・膝部の病
位置:膝の下の突出した骨の前下方のくぼみ部分。
効果:合穴、膝の痛み、こむら返り、膝の血行促進、坐骨神経痛など。
⑩環跳(かんちょう)
体幹・胸脇・膝部の病
位置:下肢の大腿骨先端から少し後方部分に下がった場所。
効果:股関節痛、下肢の痛み、足のむくみ、冷えなど。
*単独でも効果はあるが、組み合わせで体幹・胸脇・膝部の病により効果が
期待できる。
ツボの押し方と注意点
写真を参考に、ツボの位置を確認して、その周辺を指で軽く押します。
最も感覚が敏感になっているところが、あなたにとってのツボになります。
ちょっと痛いけど・・・くらいの力加減でツボを刺激します。
ツボ押しは、力を入れる時に息を吐き、力を抜く時に息を吸います。
ひと押し3~5秒を目安に、5~10回繰り返します。
皮膚の弱い方は、押しすぎに注意しましょう。
いつもと違う症状が改善しない場合は、医療機関への早期受診が大切です。
東洋医学の概念と証
東洋医学では、体を構成し循環している「気・血・水」という概念があり、
体の不調の原因は、「気・血・水」の乱れによって起こると捉えています。
気が不足している、血が滞っている、水分が溜まっているなど、幾つかの
状態が重なりあって、不快な症状や病気が引き起こされています。
症状の意味や病気の状態を、東洋医学では「証」を立てると言います。
証は主に ➀気血水 ②陰陽(三陰三陽) ③虚実 で分類し証が決まります。
➀気血水:身体を構成する「気血水」のバランスが崩れ、体調不良が起こる。
②陰陽(三陰三陽):あらゆる物は「陰と陽」の要素があり、症状の進行状態を
三陰三陽の6段階で表す。
③虚実:症状の状態を「虚証と実証」で表す。
東洋医学では、病因(原因)によって発症した症状を、四診(診断)で証(治療方針を決め)を立て、身体全体のバランスを回復させ正常な状態に戻すことが施術(治療)であると捉えています。
ツボとは、身体の不調やゆがみを、正常な状態に戻す「調整点」のことです。
ご紹介した十要穴は、10個のツボですが、様々な症状に効果が期待できます。
十要穴は、数あるツボの中でも特に重要なツボで、正穴約360個のツボも、
この10個の十要穴を越えないとも言われる程、大切なツボです。
十要穴の内、➀合谷 ③後谿 ⑤足三里 ⑦殷門 ⑨陽陵泉 の5つのツボを
五用穴(五要穴)とも言います。
ツボ押し「十要穴(特定穴)」を、あなたの健康管理にお役立てください。
週刊haruto