庭の宿命 西脇順三郎

この庭に住む人間の思考に
危機が来た
宿命の悲劇はさけられない
自然はそれ自身の法にめぐる
色あせた野薔薇のような日
はかない歴史の輪廻 岩につつじ
ヴィーコーの頭は
ただ一枚の葉をたよりに
まだ少し生きている
梅の花は散って葉が出てきた
扁平な実がなり始めた
この庭を作った老夫婦は
このコスモスを売って
田舎にひっこんだが
人間の法則にこまっている

 (未発表作品)

*この詩は、雜誌(「現代詩手帖」1982年8月号)の、西脇順三郎追悼ページに載っていました。他のものを探していて見つからず、これに飛びついたものの、意外に難解です。  汗うさぎ ヽ(;´Д`)ノ 汗うさぎ ヽ(;´Д`)ノ 汗うさぎ ヽ(;´Д`)ノ 汗うさぎ