雀(すずめ) 高橋新吉

焼け焦げたような雀が
草つ原を歩いている

此の生物を一掴(ひとつか)みにして
口に入れたい衝動と

大空に砲弾の如く投げ飛ばして
再び墜(お)ちて来ないようにしたい欲求とが
僕の腕を震わせた

 (「新吉詩抄」より)