名家の次男の西脇順三郎に対し、貧しい子だくさんの家庭に長男として生まれた伊藤整。家にいても落ち着かなかったり詰まらなかったりで、重田根見子と奔放な付き合いをしていたのだろうと単純に思っていました。
ここまで、二十歳前後に読んだ「若い詩人の肖像」による知識です。当時の自分が興味や関心を持って読み取ったこと、理解したことには限りがあり、実際に書かれている内容との間には乖離があることに気が付きました。(自分も年齢を重ね、関心が変化したとも言えます。)「若い詩人の肖像」を読み直してみるのもいいかな、と思っています。
昭和52年には曽根博義が、根見子のモデルとなった根上シゲルに実際に会って取材した『伝記 伊藤整』が出版されていました。
さらに、嶋田龍が整の親友・川崎昇の妹=左川ちかの全集を今年の4月に出版するなど、圧倒的な質と量の知見が(言わば、私の知らないうちに!)蓄積・発表されていました。
今後の読書と思索で、その隙間を少しずつでも埋めて行ければいいなと思っています。