親子は一世、夫婦は二世、主従は三世の契りだそうです。

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東吾が深川へ出かけたのは〇〇寺という寺で、昔、神林家に奉公していた者の三十三回忌の法要が営まれた故であった。

神林兄弟の父の代に用人をつとめていたもので、正直の所、東吾は顔もろくに憶えていない。

しかし、兄の道之進は若くして父をうしなった後、この用人が神林家のために尽してくれた功績を決して忘れては居らず、年忌の度に自ら足を運んで供養を欠かさなかったのだが、たまたま(中略)のため、東吾が代理を仰せつかった。

 (御宿かわせみ34「浮かれ黄蝶」の「さんさ時雨」より)


奉公人の三十三回忌に、主人の息子が出かけるのです。
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親子は血の縁で一世。夫婦は他人同士が家族としてともに生きて、来世までも続く縁ゆえ二世の契り。

ところが、全くの他人である主人と従者の縁は親・子・孫と続くのです。仕事・役目で結びつき、お互いに掛け替えのない存在になるなら、三世の契りとなるのでしょう。黄色い花 黄色い花 黄色い花