「山鹿燈籠(やまがどうろう)」の名前を聞いたことはありますか? 松本清張の推理小説「聞かなかった場所」に出てくる、熊本県の山鹿市で毎年大宮神社に奉納される、和紙と糊だけで作られた冠や神殿、城の形の灯籠のことです。

この作品はたびたびTVドラマ化され、単なる小道具であるのに「山鹿燈籠」は省略されずに毎回出て来ます。

この「聞かなかった場所」が書かれたのは昭和45〜46年で、主人公の浅井恒雄は農林省食料課の係長です。彼は最初の妻を亡くし、見合いで再婚した英子も亡くします。(その浮気のプロセスで、山鹿灯籠が出て来ます。)


   


この時代は、一周忌が済めば次の縁談が持ち上がる時代だったようです。堅い職業の男性は何度でも結婚できる時代が、わりと最近まで続いていたことに驚かされます。。。

イチョウそろそろあとの奥さんの話があるだろうと露骨に訊く者がいる。若い女房がもらえる特権をこれも羨ましがっている。

妻を亡くす→見合いの話が出る→再婚、再々婚、再々々。。
結婚が自発的選択ではなく、半ば義務・半ば権利だったのは、国家のための結婚だったということかも知れません。

また、男性は『家事をしない』という前提があったことも、関係していたに違いありません。


結婚のためのお見合いは、皆さんが見聞きされる通り、ほぼ姿を消しました。(*政治家の後継ぎ等では健在らしい。)