旅上  萩原朔太郎

ふらんすへ行きたしと思へども
ふらんすはあまりに遠し
せめてはあたらしき背広をきて
きままなる旅にいでてみん。
汽車が山道をゆくとき
みづいろの窓によりかかりて
われひとりうれしきことをおもはむ
五月の朝のしののめ
うら若草のもえいづる心まかせに。
 (詩集「純情小曲集」より)

*かつてJR苗穂駅のホーム側のうす緑色の駅舎に、この詩が書かれてありました。新しい駅舎に建て替えられるタイミングで、なくなってしまったようです。><




 イマージュ   ポール・エリュアール

肥えた動物たちが死ぬ
 そして  小さいのも死ぬ。
大地と人間とのあいだで
 みえなくなった動物たち。

 (「生活の必需品と夢の結果」1921年)