「ノンちゃん雲に乗る」(石井桃子)という本が、子どもの頃、家にありました。母が読んだ本でしたが、むずかしくはなく、小学生の時に読みました。
ノンちゃんは、幼時に疫痢に罹ったので、お父さんの判断で、空気の良い郊外に引っ越して来ました。両親とお兄ちゃん、犬のエスと、麦畑や氷川様のある田舎でのんびり暮らしていました。

ノンちゃんの健康を思い、お母さんは渋谷のおばあちゃんの家に、お兄ちゃんだけ連れて出かけましたが、それを知ったノンちゃんは、悲しくて泣きながら家を出て、ひょうたん池のほとりの木に登り、池に落ちてしまいます。

池に落ちて失神している間に見た夢が、雲に乗って、お爺さんとお話しした夢で、「ノンちゃん雲に乗る」なのです。

ノンちゃんは、お爺さんに「人間はヒレフスココロを忘れたら、おしまいだ」と教えてもらいます。ひれ伏す心とは、大いなるもの(神or自然)に対して、謙虚な気持ちを忘れてはいけない、さらには、天狗になること、慢心することを戒めたものでしょう。

今になると、それは、ノンちゃんが見た夢に出て来る言葉なので、無意識の中で、小学生のノンちゃんが、将来の自分に示した生き方の指針だったのかな〜と不思議な気もしますが、そこはお話だからでしょうか。  (過去ブログの再録です。)