花を探す少女。

「っ…どこ…?」


探している「あの花」はどこにもない。


「見つからないよぉ…」


手探りでいくら探しても見つからない。


(早く見つけないと殺されちゃう…!!)

そう。

ここは見渡す限り…


血まみれの人の死体が転がっている。


今は戦争真っ只中の地。
即ち戦場。
ついこの間までは穏やかで平凡だったこの町。
だが今では鉄の匂いが充満する荒れ地。
優しかったあの頃には戻れない。
敵に見つかってしまったらもうお終い。
逃げる事はほとんど不可能だ。
あの恐ろしい銃で殺されてしまう。
それにも関らず少女は、
泥まみれになりながら一人で
花を探しながらさまよい歩く。


「どこにあるの…?」


少女が探している花は、
日に輝き
緑の大樹の近くに
眩しく咲く
「ブーゲンビレア」
という花。
少女はずっとその花を探している。
ずっとずっと…。
殺されるのを恐れながら。


だがここは戦場。
木も無く。
草も無く。
花も無い。
見つからないのだ。
どう探しても。
兵隊の死体を目にし、
恐怖に怯える少女。
それに加え、
悲しみもこらえる。
少女一人。
誰も手を貸してはくれない。
誰もここにはいない。
恐怖と悲しみの気持ちを抱いて、
少女はさまよい歩く。


「ないよぉ…」


だが次の瞬間。


ダンッ!!


銃の発砲の音が鳴り響き、


一瞬のごとくに


飛び散り


少女は


いない。









(あ……)


どこから生まれたのか
白い蝶が
目の前を通り過ぎって行った。


(あの子みたいに真っ白ね…)


少女の母は蝶を見て思う。


ひらひらと…
はさはさと…
ひらひらと…
はさはさと…


蝶は穏やかに舞う。


(ねぇ白い蝶さん…。あなたは何の為に、何を探して、さまようの…?)


命を流離う白い蝶はどこかへ消えていってしまった。

そう、
何を探して
さまようのか…。





花を探す少女。




あの花は




どこへいったの




―END―