前々回の続き・・・



弟の葬式が終わって数ヶ月が経った・・・


仕事が終わって家にいるとお袋が電話だと呼んだ。

昔ならいざ知らず、携帯のある時代に自宅に電話はよからぬ電話だ。

大方、マンション買えとか結婚相談所とかだ・・・


『もしもし』

『・・・もしもし』

『・・・はい』


女性の声だ。

また押し売りの電話か・・・とうんざりしたしたのだが


『・・・・・・○○先輩?』(○○は本名です)

『・・・!?


俺はその一言で15年ぶりに嫌な記憶を無理やり思い出す羽目になった。

俺の所に電話してきて、俺の事を『○○先輩』と呼ぶ女は二人しか居ない・・・

しかも、一人は声や話し方に特徴があるからすぐにわかる。

そして、もう一人は真剣に結婚を考えた女だから・・・

電話の主は後者だった。

彼女は・・・

今は死んだ弟の兄貴(昔の俺のツレ)の奥さんだ。


『わかる?』

『あぁ・・・』


話が長くなるような気がしたので・・・

こっちから掛け直そうとしたら、彼女が掛け直すと言うので携帯を教えた。


自分の部屋に行くと直ぐに携帯が鳴った。


『・・・もしもし』

『どした?今頃?』

『うん・・・』

『大変だったな・・・』

『うん・・・色々とね。○○ちゃん(弟)の葬式、先輩来なかったね・・・』

『・・・行ける訳ねぇだろ?・・・誰がそうしたんだよ(笑)』

『・・・うん。・・・そうだね』


浮かない返事に俺は察した。


『何か話でもあるんか?』

『・・・うん、・・・わかる?』

『15年振りか?15年振りに電話して来るんだからな、余程だろ?』

『・・・・・・・・うん』



突然、思いもよらない返事が来た。



『ねぇ、先輩んち今から行っていい?』



昔に何度も聞いた台詞・・・その言い方は昔と少しも変わってなかった。



昔なら二つ返事だったが・・・

もう夜の9時過ぎ。

独身ならともかく、彼女は結婚してて子供も居る。


『おいおい、昔と違うんだぜ・・・』

『・・・駄目?』

『決まってんだろ!(怒)』

『・・・・・・そうだよね・・・』

『何かあったんか?』

『・・・電話じゃ言いたくない・・・だから行く』


こんな事は離れてから一度も無い。

狭い町だし、近所なのでばったり会った事はあるが・・・

電話などこの15年一度も無かった・・・


『旦那は?!』

『大丈夫、出かけてるから・・・帰りも遅いだろうし・・・』


『・・・・・』

暫く考えたが・・・


『仕方ねぇな~・・・車、通りに停めるなよ』

『うん。・・・すぐ行くね。昔と変わってないんでしょ?』

『あぁ』



程なくして彼女は車で来た。

そもそも俺んちから車で5分位だ。

だが、その距離がこの15年とてつもなく長い距離だった。


昔と同じように彼女は部屋にやって来た。




・・・つづく