以前、このコラムで、『かげりゆく夏』を読んで紹介しました。
今回の『花曇り』は氏の秀作を集めた、ミステリー短編集です。

同僚の銀行強盗を事前に知り、脅迫して、分け前をせしめようとする、『遊園地の一こう』がおもしろいです。大金を手にいれるはずが、相手が上手で、とらぬたねきの皮算用になります。

シンデレラストーリーとまではいかないものの、貧しい暮らしから、21才の女性が夢の切符を掴む『クリーンスタッフの憧憬』も感動的で、おもしろいです。