始まりの木
夏川 草介 著
偏屈な民族学の准教授と彼のもとで学ぶ大学院生 藤崎千佳が日本を旅する中で様々なものに出会っていく。
偏屈准教授と千佳とのやりとりが面白い。とてつもなく毒舌の准教授であり、それに対抗できる彼女であるが2人とも暖かい深い優しさを持つ。
旅のなかで巡り合う森 岩 大樹 山 滝 それらには神の姿が溢れている。
日本では古来、自然界の中に神を見出し信仰の対象としてきた。
人が神になる外国の宗教とはことなる特殊な世界観である。
身近なところにも、注連縄をはった岩や大樹を目にする事は多い。
しかし昨今、道路の拡張や毛虫や落ち葉が迷惑だからと山が崩されたり、桜の木が切られたりする。事にこの時期、美しい花を咲かせていた桜の木が無くなっているのは悲しいと思う。
日本の神は信ずるものでなく、その神性を感じるものだ。 と、いう文面ある。
なにか惹きつけられる。思わず手を合わせたくなる。そんな、光景に出逢うことがある。聖書も経典もなくても、道徳心や倫理観を育んできた日本人の心がそこにあるように思う。
自然に神を感じる人が減り、それと共に自分が1番、自分が何をしたいかにしか関心がなくなってきている人間が増えてきている。
プーチン 何をする人ぞ!
民族学は就職の為には役に立つものではない。しかし人生を考えるときには、とても有用なものであると書いた箇所があったが本当にそうだと思う。
この本一冊丸ごと、私のバイブルにしたいと思う素晴らしい著者だった。
そして、改めて日本語の美しさ、色を表す一文字でも細やかな幾つかの文字がある。そんな事にも感動した。
出来る事なら、この2人がたびで出会った大樹を観に行けたらと思う。
これ以上、自然が破壊されませんように。