ある言葉の、辞書に載っている意味が思ってたんとちがう、自分の使い方は誤用だった…ということはたまにあるが(たまにであってほしい)、またひとつ気づいてしまったよ、という話。

X(旧Twitter)で見かけた「カスカス」という言葉がちょっと引っ掛かったのでGoogle先生に聞いてみたところ、果物の水分≒味が抜けた状態を指す言葉、またはギリギリやスレスレという意味の言葉だった。

ずっと、マーカーや筆ペンのインクが切れたりペン先が乾いたりして書/描けないさまや、声が枯れたさまを表す言葉、漢字で書くならば「掠(かす)れる」を重ねて「掠(かす)掠(かす)」だと思い込んでいたし、そのつもりで使っていた。
あるいは、「滓/糟/粕(かす)」を重ねた「カスカス」。(見かけることは見かけるが、負の意味合いが強いし侮蔑語にもなるしで自主規制の対象である。)
少なくとも前者は辞書に載っているだろうと思って調べたが、まさかの両方ハズレだった。

言われてみれば、身近にいる四国出身者が、鮮度が落ちて水分が抜けた伊予柑や甘夏を「カスカス」と形容していた…かもしれない。
高松の方言「かすかす」と意味が同じなので、漢字表記もきっと同じであろう。
すなわち、「微(かす)か」を重ねて「微(かす)微(かす)」。
漢字にしたら「微々(びび)」と全く同じなのに、微妙なニュアンスの違いを感じるのは気のせいだろうか…。

というわけで、めでたく?「カスカス」に対する理解が深まったわけだが、今後は誤用を控えようという気持ちにはならなかった。
だって、観測できる範囲においては誤用がそれなりに広まっている気がするし、うっかりキャップを閉め忘れて干からびたアイライナーは「カ(ッ)スカスになる」としか表現できない。(※個人の感想です)
正しい言葉や言葉の意味は時代とともに移り変わるものであり、誤用であってもそれが広まり定着すれば新語に化けるので、定着させたい誤用についてはあえて積極的に使っていくのも一種の推し活である。
いつか「掠(かす)掠(かす)」が辞書に載る日が来ることを願って。

 

参考:weblio辞書「かすかす」

関連:国語に関する世論調査 -文化庁-
新語や、誤用されがちな言葉に関する項目もある。結果の切り取りはたまに話題になる。元の資料は読みやすいとは言えない(お役所あるある)が、もし興味があれば。