淡海観光ボランティアガイド連絡協議会の研修 現地研修 豊郷小学校② | 近江八幡 いけばなと着付け 十一色の花小路日記

近江八幡 いけばなと着付け 十一色の花小路日記

「じゅうひといろの はなこみち」
近江八幡市にて
池坊いけばな教室と
ラク+キレイ+着崩れない着付け教室を運営しています。
 

 

こんにちは
滋賀県近江八幡市 いけばなと着つけ 『十一色の花小路』
川村節子です。

 

『豊郷小学校』

前回のblog記事から続きます。
 
1937年 小学校の老朽化と児童数の増加で手狭になった教育状況を聴いた
卒業生でもあった 丸紅の初代専務、古川鉄治郎さんが
私財の三分の二という巨額を投げ打って建てられた4万平方メートルの小学校。
土地 建物 何もかもすべてをお一人で寄付されました。
講堂 プール 図書館 水洗トイレ 集中暖房設備や内線電話などなど備えられていた、
設計は 近江八幡で活躍していた ウィリアム・メレル・ヴォーリズさんがあたり、
建築は竹中組(現在の竹中工務店) そして現場監督は のちに竹中工務店社長を務める
神谷新一さんでありました。
 
2012年にこの校舎は、その貴重さから国指定登録有形文化財に選定されました。
 

さて。まずは 講堂へ案内していただきました。

こちらは 現在の小学校が 使用されてもいます。

大きな窓からの 光。 ヴォーリズ建築の特徴ですね。

そして

写真奥に行くにしたがって ゆるやかな スロープで下っていくつくりになっています。

つくりつけの椅子は 学年に応じた座面の高さになっていて

ステージとなっている向こうには 集中暖房のラジエーターがあり

この講堂の左右の壁面からの暖房はもとより 

校舎へも暖房がいきわたるようになっていたとのこと。

 

 

時代ですね。 奉安庫が 厳重に厳かにございました。

 

校舎へと行きますと

この階段の イソップ物語「ウサギとカメ」にちなんだものは

有名になっています。

古川鉄治郎さん自身の思い出にちなんで ヴォーリズさんが

デザインされているのですが

 

 

ストーリー通りに 3階までの手すりに カメや

まだ遅れているカメや

 

 

寝ているウサギや

 

余裕をもってまだ寝ているウサギや

 

迫りくるカメに気付かないウサギや

 

そして最後 勝ってゴールのカメが 

 

 

こちらは 屋上テラス

 

 

5年3組なんていうプレートになつかしい感情になるのですが

 

かなり廊下の幅が広くとってあったり

 

とうてい小学校の理科準備室とはおもえないほどの 

すごいレベルのものばかり

 

 

 

 

 

ドアの開くここは あぶないですよ という 半円のしるし

 

三段になっている窓は

下の二段が 教室の内側にしか開かないようになっているのは

廊下にいる児童に 当たらない配慮

 

 

 

 

 

椅子が合体されているつくりの 机は 斜めになっていて

文字が書きやすかったりする角度

 

お客様用の貴賓室も拝見できました

 

天井は 角度がとられているので やわらかい印象

そして 教室側の天井には 間接照明になっているとか。

 

この ウサギとカメたちは 戦争中に 金属供出で

とられていってしまいますが

戦後 ここを造った 竹中工務店によって また復元されたとのこと

 

 

 

どこをとっても 価値のある豊郷小学校。

最新のものを取り入れ最先端でいて、

そしてヴォーリズさんらしい温もりや配慮のある学校。

戦争中は 軍の施設に間違われないよう 攻撃されないように

黒く塗られたとのこと。

 

戦後に、校舎は白く塗り戻されました。

 

大切に守られてきた豊郷小学校でしたが 1995年の阪神淡路大震災から

耐震性の議論が高まってゆきます。 耐震補強か 解体か 議論となっていきます。


ただ、他に見学しましたが、

あの大震災でヴォーリズ建築だった神戸女学院大学は ほぼ、被害が出なかったほど 頑丈に強固に造られていたのですが…。


豊郷の町のアンケートで耐震補強と答えた町民は45%に対して解体は6%

 

滋賀県も日本建築学会も保存するよう求める意見発表があったのにもかかわらず

時の町長は 解体推進の方針を曲げず 2001年 解体工事着手に。

 

町民は「豊郷小学校の歴史と未来を考える会」を組織し、大津地裁に対し 講堂解体差し止めを求める

仮処分申請を提出。 それでも町長側は 講堂と図書館は保存、校舎は解体撤去を曲げず

さらに町民が 校舎についても解体差し止めを求める仮処分申請を提出します。

 

ところが 町長側は 校舎の解体工事に向けた造成工事を着手。町民は座り込みの抗議活動。

 

泥沼化はさらに 町長のリコールへの署名活動、さらに 仮処分決定がなされているのにもかかわらず

町長自らの指示で校舎の窓枠を破壊する工事を強行。 阻止しようとした町民へ作業員が暴行シーンなども

テレビで全国放映されていました。

 

そこからは 裁判所の命令を無視した町長へ 文部科学大臣に要望書提出になるなどし 

町長は校舎を保存する方向へ行くも 県へ建造物損害で滋賀県警へ告訴を町民が出したり

現状復旧と損害賠償の訴訟問題へ。

 

校舎は残すけれども 新校舎は建設するという推進を曲げない町長と 

現校舎を使用するという要望の町民と 二分された町・・・

 

リコール署名も達し住民投票となり 町長の失職が決定するも

翌月の選挙で 町長側と 対立候補が一人にはできなかったことで なんということ町長が再選。

新校舎は建設されてしまいます。 

 

町民側が起こしていた旧校舎破壊の損害賠償訴訟は最高裁まで争われ

町長側に支払いを認める判決が確定。

また 新校舎建設費支出差し止めと支払い済みの費用の返還を求めた裁判は

支出差し止めと 業者が2000万円を寄付金のかたちで町に返還ということで和解となりました。

 

当時の報道を私も覚えていますが、

今回調べたり学んだりして、大もめにもめ 大ゆれにゆれた その経緯を詳細に知りました。

 

現在は 耐震と改修工事を経て

文化財として、そして 町の教育複合施設として うまれかわっていて

 

ヴォーリズ建築としての建築ファンや

アニメの聖地として世界中からも

来館者の絶えることがありません。

 

アニメ けいおん!の 一コマにあるそうですが

軽音部の部室で お茶をたのしむシーンにちなんで

 

音楽室で ウェッジウッドのワイルドストロベリーで

すべてそろえられた かわいいお茶会の様子の再現が

 

これも 全部 全部 ファンの方々からの寄付だそうです。

うっすら奥に写っているのは このほかにもおられた 

けいおん!ファンの方の 巡礼中。

 

ほんとうにすばらしい豊郷小学校。 実際 見学させていただき

こころからすばらしい校舎群でした。

よくぞ 残してくださいました。 そんな気持ちが見学していたそこかしこで何度も思いました。

 

 休館日以外は、自由に見学でき、

また、お申込みをしていたらガイドさんの案内もしていただけます。

 

 

 

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