「笑いは奇跡を起こす」 「リハビリのゴール」 | 私の息の根を止めなかった神さま

私の息の根を止めなかった神さま

脳卒中になったとき・・・

神は何故俺の息の根を止めなかったんだろう?

半身麻痺にさせてまでつたえたかったこと

それは・・・

人生の目的、生きることの本当の楽しさを教えたかったから。

 「リハビリのゴール」

 

 あいかわらず海は気持ちがいい。こんなところでリハビリできるわしはなんて幸せものなんだろう。とおもう。

 

 

それにしても、外人さんが多い。必ず1日ひとグループは行き会う。

 

さて、海を眺め、お寺で迷走していて今日思ったこと。

 

「このリハビリハいつまで続くんじゃ?」

 

アタマの中で聞こえるYS病院PT Kちゃんのささやき・・・

(一生です。言ったじゃないですか。)

 

俺・・・

(やっぱりそうだよな・・・)

(最近さ~この終わりのない闘いみたいなのやめたくなってきたんだ)

(ほらイチロー君も言ってたじゃん。現役を引退するっていうのは一つの死を迎えることと同じですよねって。)

(だから、わしの場合も、今までの事業をやめ、山形を離れるっていうのは一つの死なわけで、だから片麻痺になった時点で一つの死を迎えたわけなんだ。)

 

YS病院PT Kちゃんのささやき・・・

(で、一つの死を迎え?ちょっと待ってくださいよ。あなたねえ。イチローさんと一緒にしないで下さいよ。200年早いですよ)

 

俺・・・

(まあちょっと聞いてくれ)

(人間はさ、誰だって、いつだって生まれ変われるチャンスを持ってるっていうじゃないか。出羽三山だって、熊野三山だってそういうところだろ?わしは両方、しかも出羽三山なんて何度も行ったぞ。

そこでだ。この<片麻痺アタマへんてこ人間>となってどう生まれ変われるかなんだよな。)

 

湯殿山神社入り口の大鳥居

 

 

月山頂上にある月山神社本宮

 

 

 

 

 

(でもって、リハビリはリハビリとして一つのゴールを考えた。今までは漠然とした終わりなき戦いをしてきたけど、それは今までと同じ生き方だよな。そうじゃなくって一つの歓びのゴールだよ。目標にむかってがんばるゴールじゃなくって、そうなったら楽しいだろうなっていうゴールだ。自分の人生のQOLだよ。わかるよね、KちゃんQOL。)

 

YS病院PT Kちゃんのささやき・・・

(馬鹿にしてるんですか?そんなの看護学生だってしってますよ。入院中も学生さんに笑われていたじゃないですか。馬鹿にしないでって)

 

俺・・・

(ごめん。そうだった。そう。だからそのQOL。俺自身の人生の質だよ。何かを成し遂げるんじゃない。どう生きるかなんだ。)

(退院後の自主トレリハビリは孤独と終わりなきゴールといやでも向き合う。真正面から向き合うと、気持ちが折れる。何かを成し遂げようとするから、気持ちが折れるんだ。何も成し遂げようとせず、人生というゲームを楽しめばいい。ただそれだけなんだ。)

 

生きながらにしての生まれ変わり。熊野本宮大社の宮司さんが言ってた言葉。

 

そう。俺、行ったんだよな。熊野。さっきブラタモリ見て思いだした。

 

 

 

 「笑いは奇跡を起こす」

 

山形YS病院リハビリ病棟に移って3週間。私のリハビリ担当者はOT,PT、STと一人ずつなんだけど、この病院では脳外科チームが寄ってたかって私をいじめに来る。(STのみ担当者が休みの日は休みにしてもらった)

ある日担当OTが休みのとき、代わりのOTさんが来た。(毎朝、リハビリスタッフが病室に挨拶に来る。)

代わりのOTさんI君。若い男の子。彼に聞いた。

「土日とか、担当者休みの日とか、俺も休みじゃないの?」

I君

「そういう方もいらっしゃいますが、○○さんに関しては退院まで絶対にありえません。ぜったいに。」

「そんな強調しなくってもいいじゃん。そんなに俺をいじめて楽しいんだ。」

I君

「はい」

おかげさまで、私は病棟一、リハビリ室一の「脳卒中おばかおやじ」として君臨することになる。

 

でもって、担当OTのHちゃん休みのある日。

 

「おはようございま~す。

今日担当のHが休みなので、私Kが行いま~す。」

 

これまた明るく可愛い子だなぁと思いながら、車椅子を押してもらいOT室にいく。

 

ベッドに寝て肩周りのストレッチ、肘のストレッチ、動作訓練の時、

 

OTのKちゃん

「肘をのばしてくださ~い」

 

私は必死になって肘を伸ばすことに集中し、歯を食いしばっった。

 

OTのKちゃん

「なんか○○さん泣きそう」

 

私は自分の泣きそうな顔を想像し思わず吹き出して笑ってしまった。

 

その時である。

 

肘が伸びたのである。今まで伸びなかった肘が。

それも力を入れずに、力まなくても伸びたのである。

 

思わずKちゃんと顔を見合って、お互い一瞬の間をおいて、二人して大笑いした。

 

「見た?今の。」

 

OT Kちゃん

「見ましたよ」

 

しばし二人して大爆笑。周りもつられて大笑い。

 

 

「もう一度やってみる?」

 

OT Kちゃん

「はい。お願いします。」

 

できる。

2度、3度。しかもKちゃんの指示どうりの動きができる。

 

2人してまたも大爆笑。

 

次の日、担当OTのHちゃんが出勤してきて真っ先に伝えたのは言うまでもない。

 

つづく