【どんなに嫌な会社だったとしても3年は絶対にやめない!】

入社を前にジュンヌが自分に誓ったたった一つのことだった。

 

 

専門学校の先生から

「あなたはお給料の良い処よりも、

やりがいのある会社の方がいいでしょう」

「先輩のいる会社に入ってしごいてもらいなさい」と言われ、

 

先生から紹介された会社の入社試験を受けることになったが、

なぜ、先生がそのようなことを言ったのかその時はわからなかった。

 

 

ジュンヌは、

アパレル会社に入るということに対して、

自分の好きな服を作れるとこというよりも

 

その会社が求めているターゲットに合う

商品を作ることと割り切っていたので、

先生が進めてくれた会社を受けることにした。

 

 

 

緊張した面持ちで入社試験を受けに行った。

 

デザイン画を渡され、

「このドレスのバックデザインを描いて

パターンを起こしてください」

 

人体ボディにシーチングをあて

立体裁断をし、

それをパターンに起こすまでが試験だった。

 

緊張はしたが、何故か楽しかった。

 

 

 

後日、知らせが来て入社が決まった。

 

 

そして、初出社する日に

「どんな事があっても3年は辞めない」と

自分に誓って出かけた。

 

 

新入社員は、新卒4名で、

ジュンヌが一番年上で先輩と同い年だった。

 

それは、ジュンヌが2年働いてから専門学校に入ったからで、

先輩にとっては、きっとやりづらいと思ったかもしれない。

 

 

なぜなら、ジュンヌだけが違う部署の配属となったからである。

 

その先輩の元でしごいてもらうことは叶わなくなり、

ちょっと気持ち的に落ち込んだ。

 

 

配属になった部署の先輩は、

ファッションデザイン科卒ではなく、

技術科出身だったので、ちょっと堅い感じがした。

 

 

まだできて間もないブランドだったので、

何をメインに創っていくかも決まっていなかった。

 

 

4月に入社し、

5月には夏物の展示会が開かれることになっていたが、

 

右も左も分からないジュンヌにとっては、

とにかく先輩から言われたことをやることしかできなかった。

 

 

ある日、先輩と部長が生地屋さんへ行き、

展示会用のサンプル生地を選んできた。

 

「これでなにか創って!」と

その中の一枚を先輩から突然渡されたが、

絵画のような大胆な柄・・・

 

 

「なにか創って」と言われただけで

何を創ったら良いかの指示もなかった。

 

 

いきなり新入社員に丸投げしてきたことにもびっくりしたが、

その分、何を創っても良いということだと理解した。

 

 

大きなパネル柄を目の前にして、

デザインを優先すべきではないということはわかったので、

人体ボディに布を載せて、

布と遊ぶことにした。

 

 

この柄が一番活きるデザインはなんだろうかと、

あれこれ動かしている内に

布地自体が教えてくれた。

 

 

柄の配分や着た時のバランスを考えながら、

基本的なデザインに収まった。

 

どっちかと言うとデザイン的には面白くないが、

柄のバランスは良いと思った。

 

 

その時、

主張のある柄の時は、

柄に聞きながらデザインをすることが良いということを初めて学んだ。

 

 

そして1週間後、

ジュンヌが初めて創ったデザインサンプルが上がってきた。

「わ~、イメージ通りに仕上がっている!」

何故か自分の初めての子供のように嬉しかった。

 

 

「いいじゃない!これ売れるよ!」

営業マンが笑顔で声をかけてくれた。

内心ジュンヌもそんな気がして

「やったー!」と叫びたかった。

 

 

展示会は東京赤坂プリンスホテルのホールで行われ

全国からバイヤーさんが集まってきた。

 

 

ファッションデザイナーとしての

ジュンヌのデビューの日でもある。

内心ドキドキしながら、

目は自分の作品に集まるバイヤーさんを追っていた。

 

「意外といい感じ!」

密かに微笑みながら雑用をこなしていた。

 

 

展示会が終わり、注文の集計が済んだ時、

なんと、ジュンヌが創った商品に一番注文が付いていた。

 

 

嘘のようなホントの話に、

本人自身がびっくりしていた。

 

 

そして、新ブランは、

プリント中心のブランドとして走り出すことが会議で決まり、

新入社員でもあるにかかわらず、

ブランドはジュンヌ中心に回り始めた。

 

 

その3ヶ月後、直属の先輩が辞めていった・・・

新ブランドとして動き出した直後だっただけにショックだった。

 

 

これからは新入社員のジュンヌが、

企画からデザイン、パターン作りまで

一人でやっていかなければならないことになる・・・

 

責任は思いが、

動き出してしまった以上やるしかない!

後には引けない状況に決断するしかなかった。

 

 

無茶振りして辞めていってしまった先輩のお陰で独り立ちできたのだと

今になってみれば感謝しかない。