子どもが希望の大学に受かって良かったね。
そんなにウキウキして馬鹿みたい。
馬鹿丸出し。
その内足もとをすくわれないようにせいぜい気をつけて。
私のことはもうとっくに忘れたんでしょう?
忘れないでってあれほど言ったのに。
あれほど頼んだのに。
でもお前は忘れた。
人間って変わるね。
人間は狡いね。
お前も
その一人だったか。
だらしなく伸ばした前髪からのぞく暗い右目。
私にそう告げるその女の子は
よく見れば娘に似ている気もするが
全くの別人だ。
なぜなら
黄色く汚れた醜い脂肪と
暗闇のオーラを万遍無く纏っている。
忘れてないよ。
それは
私が切り捨てた
昔の私だ。
踏みつけて
切って
密閉して
深く深くに埋めた
本当の私だ。
本当の?
私は実母に虐待されて育ち
父を宗教施設で亡くした。
あの時
2000円だけ持ってたった一人で東京に逃げてきた醜い女の子の事を
書こうと思う。
子どもももう大きくなったし
そろそろ書こうか。
それは誰かの勇気になるか。
必要ないか。
必要か。