診察室に入ると、医者が立って待っていた。
「…お久しぶりです。」と父が頭を下げた。
相手の医者も同じように頭を下げ、
「名前を見てびっくりしましたよ。どうされたんですか…」
「こんな形でお世話になるとはお恥ずかしい」と言った。
どうやら知り合いらしい。
2人がそんな会話をしてる間に看護士さんが私と母の分の椅子を用意してくださり椅子に座り、緊張が走る中診察が始まった。
医者に症状をきかれ、父は淡々と話す。
いつも「大丈夫」しか言わなかったくせに、初めて父の口から症状を聞いた。
触診後、医者がすこし戸惑いながら「…腸閉塞になりかけてるかもしれませんね…腸カメラでみてみましょう。」と言った。
父は「これは癌だと思います。」と答えた。
私たちには「大丈夫」とばかり言っていた父の口から出たまさかの発言に私と母は言葉を失った。
「可能性は高いですね」