「Nuclear F.C : 原発のウソ」氏のブログより
<転記開始>↓
2011年12月24日10:28
12/24 「都と大阪連携 発送電分離の実現性」 @ こちら特報部
大阪市の橋下徹市長が株主提案で関西電力に発送電の分離を迫るとぶち上げた。
東京電力の大株主である東京都も東電に同様の対応を迫る構えで、実現すれば電力自由化、さらには脱原発への大きな弾みとなる。
しかし「地域独占」の既得権は電力会社の打ち出の小づちで抵抗は必至だ。東電は電気料金の値上げまで発表した。 (佐藤圭、上田千秋)
橋下市長は先の市長選のマニフェスト(公約集)で「原発依存度の低下と電力供給体制の見直し」を掲げた。ターゲットは、市が筆頭株主の関電。
関電が来年六月ごろに開く株主総会で、発電部門と送電部門の分離などを株主提案し、過半数の賛成を集めて可決する作戦だ。
橋下市長は二十一日、東京都庁で石原慎太郎知事らと会談。東電株式の約3%を保有する都も来年六月の株主総会で発送電分離を株主提案する意向を示した。
「東京と大阪が一緒にやれば他の株主への説得力が生まれる」と橋下市長。電力業界の両雄が発送電分離にかじを切れば、他の電力会社も追随せざるを得ない。
全国の送電網が電力会社から切り離され、新規参入者も送電線を自由に使えるというわけだ。
脱原発には、再稼働の阻止が手っ取り早いが、なぜ発送電分離なのか。
橋下市長が率いる「大阪維新の会」の坂井良和・大阪市会議員団長は、次のように解説する。
「維新の会は、すべての原発を直ちに廃炉にしろとは言っていない。再稼働は国主導で解決すべき問題だ。ただ、福井県の敦賀原発など老朽原発は危険だ。
福島のような事故が福井で起きれば、関西の水がめである琵琶湖は汚染される。原発の依存度を下げていかなければならない。発送電分離で新規参入が進めば、老朽原発を使う必要はなくなる」
橋下市長と関電の対立は、夏の節電要請に端を発する。原発の新規建設の中止などを提唱していた当時府知事の橋下市長は「節電要請は原発再稼働が目的ではないか。根拠が不明確だ」と要請を拒否した。
橋下市長の脱原発志向と関電批判が重なり合ったのが、今回の株主提案方針といえる。
とはいえ、可決に持ち込むのは容易ではない。市が保有するのは関電株式の約9%。さらに40%以上も上積みしなければならない。橋下市長が期待するのは、関電株式を保有する他の自治体だ。
橋下市長は来年二月投開票の京都市長選に関し、同市が関電株式の約0・5%を保有していることから、脱原発に向けた株主提案権行使の是非を争点にすべきだとの考えを示している。
坂井氏は「大阪市を含む自治体が保有する関電株式は合わせて15%程度。これを起爆剤に、個人株主に賛同の輪が広がっていけばいい。
大阪市長選でも、関電など組織・団体は対立候補の応援に回った。大阪は今、個人が立ち上がっている」と力を込める。
橋下市長に“挑戦状”をたたきつけられた形の関西電力の八木誠社長は先月二十八日の定例会見で、早くも橋下氏の動きをけん制。「エネルギーの安定供給を考えると、原子力は重要な電源」と主張。さらに「現在の発送電一貫体制が最適」との考えをあらためて示した。
NPO法人「環境エネルギー政策研究所」の飯田哲也所長は「日本の電気料金が世界で最も高いのは、電力会社が送電網を独占し、競争がない市場であぐらをかいているから」と指摘。「それが脅かされるとなれば、電力会社は命を懸けて戦ってくる」と予測する。
大阪大の八田達夫招聘(しょうへい)教授も「電力の世界には、長い間培われてきた既得権がある。電力会社だけでなく、資材を高く買ってもらっている会社なども同じく地域独占でやってきた。経団連を含め、“オールジャパン”で抵抗してくるだろう」と話す。
電力会社の思惑とは別に、安価な電力供給は喫緊の課題だ。東電は二十二日、家庭などの電気料金の値上げを早期に申請する方針を明らかにし、法人向けの電気料金は来年四月から値上げすると発表した。
値上げ幅は家庭などは10%程度、法人は20%程度を軸に検討するとしており、ただでさえ円高などで苦しむ町工場などの中小企業にとっては大きなダメージとなる。
そこで期待されるのが、電力会社とは別に電気を販売している特定規模電気事業者(PPS)。二〇〇〇年三月以降、段階的に電力市場の自由化が進み、経済産業省資源エネルギー庁によるとPPSは現在、全国で四十八社を数える。
PPSは自前で所有している発電所でつくった電気を、電力会社の送電網を使って利用者に供給。契約電力五十キロワット以上の大口需要者にしか販売できないという制約はあるものの、料金は電力会社と比べて数%から十数%は安い。PPSを利用している霞が関の中央省庁などもある。
しかし、こちらも簡単には普及しそうもない。送電網の使用料が高いため新規参入が思うように進んでおらず、PPSが電力全体の販売量に占める割合は3%程度。「料金が上がったからといってすぐにPPSに移行できるわけではないし、東電が送電網の使用料を上げることも考えられる」(飯田氏)
では、こうした状況を変えるためにはどうすればいいのか。飯田氏は「電力会社がすべてのデータを握っている現状では、真正面から行ってもけむに巻かれてしまう」とした上で、「東電を国有化させることが第一歩になる。
いったん国の管轄下に置き、再上場するタイミングで発送電分離できるよう法改正をすればいい。事故のリスクを考慮すると原発での発電は不利になるので、再生可能エネルギーの普及が間違いなく進む」と唱える。
八田氏は「国の政策は電力会社の意向に影響されてきた。これから業界のリーダーシップを取るのは関電。橋下市長は発送電分離を邪魔しないように関電に働き掛ければいい」と話し、こう訴える。
「州によって違う米国を除けば、欧州各国も豪州もすでに発送電分離になっている。日本では独占を維持するために政治と結び付いて妙な動きをした結果、高い価格になっていた。発送電分離で競争を促すべきだろう」
<デスクメモ>
橋下市長は教育基本条例案でも都に連携を求めた。こちらはトップダウンで教育の質を変えようという危険な刃だ。国難に対峙(たいじ)する日本に変革をもたらす力は欠かせない。だがもろ刃の剣の危険を忘れてはいけない。橋下市長の言葉をよく聞き、目を光らせる意識も大切だろう。主役は民意だ。 (充)
東京新聞・こちら特報部 12月23日
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