覚醒なき国家に未来はない(2) | レオヤナギさん!どちらへ?

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田中良紹氏の「国会探検」より

   http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2011/05/post_258.html




<転記開始>↓



2011年5月 1日 17:05


      覚醒なき国家に未来はない(2)



「ニクソン・ショック」によるドル安円高は輸出主導の日本経済に打撃を与えた。もはやアメリカは日本に経済力をつけさせる側ではなく経済力を削ぐ側に回った。しかも佐藤栄作政権が「沖縄返還」を悲願とした事で日本は足下を見られた。アメリカは日本の輸出の主力であった繊維製品の輸出規制を要求してきた。


「沖縄返還」を実現するためにはアメリカの要求を飲まざるを得ない。日本政府は明治以来の国家事業であった繊維産業を他の業種に転換させる行政指導を行った。これを皮切りにアメリカは日本に対して自動車、半導体と次々に輸出規制を要求してくる。こうして戦勝国アメリカと敗戦国日本との間に経済を巡る戦争が勃発した。


アメリカに軍事で敗れた日本は経済ではしたたかだった。アメリカにバッシングされながら実益だけはしっかり確保した。1980年、筆者は自動車摩擦が燃えさかるデトロイトを取材した事がある。テレビに日本製自動車をハンマーで壊すアメリカ人の映像が繰り返し流され、新聞には「アメリカに反日の火の手」の見出しが躍っていた。


「デトロイトに行くと日本人は石をぶつけられる」とアメリカ通が言うので、「石をぶつけられに行こうじゃないか」とアメリカに行った。ところが行ってみるとデトロイトのどこにも「反日の火の手」はない。ハンマーで日本車を壊した男は市民から冷たい目で見られ、町には日本車が走り回り、失業した自動車労働者も日本車を欲しがり、デトロイト市民は日本車の燃費の良さを絶賛していた。


「反日」はデトロイトではなくワシントンで燃えていた。労働組合と政治家とマスコミが騒いでいたのである。過剰な報道を利用して日本の通産省は自動車業界を説得し、日本は自動車輸出の「自主規制」に踏み切る。「自主規制」で輸出数量が減っても日本車の需要は減らない。日本車の価格が上がって日本の利益は減らず、損をしたのはアメリカの消費者だった。


煮え湯を飲まされ続けたのはアメリカである。それが1985年に数字に現れた。アメリカが世界一の借金国に転落し、日本は世界一の金貸し国となった。工業製品を世界に輸出し、儲けた金を投資して金利を稼ぐ。世界中から日本にマネーが流れ込んだ。敗戦国日本が戦勝国アメリカの地位を脅かす存在となった。


折しもアメリカと核競争を続けてきたソ連帝国主義に陰りが見え始め、アメリカと覇権を争うのはソ連ではなく日本だと見られるようになった。85年の「プラザ合意」でアメリカは「ニクソン・ショック」に次ぐドル安誘導を行った。かつて360円だったドルの価値が三分の一になった。


円高による打撃から日本の産業を守るために採られた低金利政策はバブル経済をもたらし、日本人がアメリカの不動産を買い漁るようになるが、その頃のアメリカには日本に対する二つの見方が登場した。一つは「経済大国になった日本はアメリカの核の傘から脱して核武装する」というもので、キッシンジャー元国務長官などが主張した。


60年代の終わりに日本の核武装計画を知る立場にあったキッシンジャーは「経済大国は必ず軍事大国化する。唯一の被爆国としての反核感情など周辺が核を持てば一夜で変わる」と断言した。


もう一つは「日本は欧米とは異質の官僚国家」という見方である。リビジョニストと呼ばれる学者や評論家が主張した。彼らは「日本は資本主義でも民主主義でもなく官僚が主導する計画経済国家」と言った。ソ連共産党の最後の書記長であるゴルバチョフも「日本は共産主義の理想の国」と言ったから、東西両陣営から日本は社会主義経済体制と指摘された。しかし二つの見方のうち前者は間もなく消滅した。


90年8月にイラク軍がクエートに侵攻して湾岸危機が起こると、欧米各国の議会はこれにどう対応するかを議論し始めた。ところが日本だけは国会を開かず、橋本龍太郎大蔵大臣がアメリカ政府に支援の金額を打診した。1兆円を超える支援額が決まってから国会が開かれた。


これがアメリカの失笑を買った。資源のない日本にとって中東の石油は経済の生命線である。自国の死活問題を自らの問題と考えず、従って国会も開かず、日本はひたすらアメリカにすがってきた。いずれは大国として自立すると思っていたがそれは間違いだった。この国はいつまでも二流の従属国なのだ。それが当時のワシントンの日本に対する見方である。


筆者は当時ワシントンに事務所を構え、アメリカ議会の日本関連情報を日本に紹介する仕事をしていたから、実際にそうした見方を耳にした。ところが日本のメディアはそれを伝えない。「金だけ出して人を出さなかったから馬鹿にされた」という報道ばかりだった。


アメリカの本音は「足手まといになる人間よりも金の方が有り難い。しかし憲法の制約がある日本に人を出せと言う方が日本を困らせる事が出来る。困らせればさらに日本から金を搾り取れる」というものである。アメリカは、軍事をアメリカに委ねて金を稼ぎ、世界一の金貸しになった国から金を搾り取るのは当たり前だと考えた。



↑<転記終了>