宝物にしていたLINEトークのスクショ。待ち受けにしたり、毎日確認したりする訳ではないけど、時折眺めては、元カレからの嬉しい言葉をもう一度なぞり、忘れてしまいそうな彼の声を、頭の中で再生する…あの優しい日々が、いつかまた訪れることを心の何処かでずっと、願っていました。
それを、偽造だと疑われた。
その、嬉しい言葉をくれた、張本人に。
私には、そんなものを作る発想も、スキルも、時間も、ありません。
心が、追いつかない。
付き合っている時、私への愛が溢れすぎて怖いと言っていた彼。
もし別れを選んだら、僕はストーカーになるよと笑っていた彼。
別れて、絶望の中でもらった「好き」。
特別な縁があるから、いつか戻ると思うと言ってくれた日。彼女の存在を彼の後ろに感じながら聞いた「ずっと綺麗なままでいてね」。
暗い公園で、前より痩せた元カレの肩を、ただただ擦るしかなかった夜。
久しぶりのキス。
振り切って帰った日の後悔。
振り切れず入ったホテルのキャンドル。
あの日の言葉。
あの日の眼差し。
あの日の彼。
あの日の私。
あの日の2人。
別れた後も、心を磨り減らしながら、それでもか細く紡ぎ続けた、
柔らかい思い出たち。
それを偽造だと言うのなら、
偽物を造ったのはあなた。
私は、それを
偽物だとは知らずに
壊れないように
無くさないように
そっと優しく
今の今まで
抱えていたよ
それが今、私の手から滑り落ちた。