3ヶ月以上連絡が取れなかった元カレから、
LINEが来た。

たくさん
ありがとう
ごめんね

高熱で仕事を休んでいたので、直ぐにLINEを返す。

「ほんもの?ほんとの○○?」

本人だと分かる、私達にしか分からないスタンプが届いた。

本人だ。

「Rさんがうちに来たよ」
「うん」
「もう、どうして連絡が取れなかったか、何処にいたのか、予想はついてると思うけど…」
「うん。でも、言いたくないなら、言える時に教えてくれたらいいよ」
「今言えるよ。でも、聞いたらもう連絡は取らない方がいい。聞いたら、○○○もそう思うと思うから…」
「それは、私が決めることだよ」
「そうだけど、聞いたらもう俺に連絡したくないと思うよ」
「Rさんじゃない人も来たんだよ」(実は、彼が居なくなって1ヶ月位の時に、見知らぬ男女から自宅前で○○さんとRさんをご存知ですか?と、声を掛けられました)
「そっか…それは多分警察じゃないかな。本当にご迷惑お掛けしました」
※警察ではないと思います。警察ならまず名乗るはずなので。これについては謎のままです。

「家に、帰るね」

LINEはそこまでのやり取りだけでした。
きっと色々と複雑な心情のはずな彼に、自宅でゆっくりして欲しく、何も追及はしませんでした。
ただ、バカ過ぎる私は、まだこの時、
「彼が助けを求めて来たら、何とか支えになりたい。精神的に支えられる人になれたら」
なんて考えていました。

翌日、私からLINEしました。
ちゃんと、ご飯食べているのか。
彼からは、一言二言程度の返事だったと思います。

ただひたすら、心配でした。

次の日もまた、LINEしました。
つらい時は、ちゃんと誰かに吐き出して欲しい。それが私ではなくても、ちゃんと弱音を吐いて欲しい。

その日の夜中だったと思います。Rさんからメールが…
明け方に気付き、悶々と朝を迎えました。

メールの内容は
「私と○○さんが付き合っていた時に、○○さんから寄りを戻したいという話があったと、前に言ってましたよね?」
ん?何を今更?確か元カレとはきっぱり縁を切ると発言していたRさん。まぁそれはないとしても、今更そんな事を蒸し返してなんになるんだろう。
「寄りを戻したいという言葉は無かったと思います。
好き、いつか戻るのかな、願いがあるなら正直に言って欲しい。何でも叶えるから…ぐらいでしたらありました」
正直に、事実を返信しました。
ヨリを戻すことはありませんでしたが、実際は何度も、元カレから思わせぶりなことを言われ、そして傷付いてきました。以前の電話で数々のマウントにやられていた私の、意地悪な気持ちがこの返信になったのだと思います。
ただ、さすがにキスされたり、身体の関係を持ったこともあるとは、同じ女性として言えませんでした。

Rさんから、私の返信に対する返事はなく、私のもやもやは募りました。
元カレが帰ってきて、今はそんなことを蒸し返すよりも、考えなければいけないことは山程あるはず…

私は元カレに電話しました。
朝の早い時間だったので、まだ眠そうな声。
「Rさんからメールが来たんだけど」
「うーん…なんて?」
「過去の話を蒸し返してきたけど、私と○○が、ヨリを戻すとかそういう話があったかどうか」
「好きと言われたことはあるけど、ヨリを戻そうと言われたことはなかったと言ったよ。勿論ホテルに行ったことは言ってない。どうしてRさんが今そんなことを気にするの?」
「うーん…付き合ってるから気になるんでしょ」
「…え?誰が」
「俺とRが」
「え?Rさん、彼氏がいるって言ってたよ。○○が居なくなった時、彼氏さんにも相談してるって言ってたよ」
「だから、今は俺と付き合ってるの」
「いつから?…逮捕された時も付き合ってたの?」
「いや、その時は付き合ってないけど。逮捕されたこととかも凄い考えてくれて。会いにきてくれて」

なんだそれ。
私、ただただ痛い女じゃん…

電話を切って暫くすると彼からLINEが。
いつ自分が私に好きと言ったのか。
Rさんが私にメールしてきた正確な時間は何時か?
まるで私が嘘を付いているのではと疑うような内容でした。

痛い女ついでに白状すると、私、元カレと付き合っている当初から、彼との嬉しいLINEのやり取りはスクショして時々眺め、モチベーションを上げる御守り代わりにしていました。別れた後も元カレに対してずっと気持ちを残したままだったので、その癖は継続していて(付き合っていた頃の甘い甘いLINEのスクショは、お別れの時に殆ど削除しましたが)、前述のLINE内容も、当然スクショで残っていました。

「スクショがあるから送るね」
画像を送ると、
「ほんとだ」
「ん?でも何でこんなに大きくしてあるの?右側は?会話の内容を全部確認したいから、大きくなんかしないでいいから元の画像送って」
「……………」

右側、すなわち、彼の言葉に対する私の返事部分です。会話の私側。
嫌でした。その時の私の嬉しい気持ちが、そして正直に彼に向けた思いと、当時も彼女だったRさんへの遠慮が、そこにはあったから。
彼の、好き。自分勝手でごめん。という言葉は、当時死ぬ程嬉しかったです。願っていた復縁が叶うかもしれない。そこで私が彼女と別れてくれることを望めば、もしかして本当に復縁していたかもしれません。彼の今も、私の今も、大きく違っていたかもしれない。でも私の返答は彼の好きを上手く受け流していました。
だって、彼女がいたから。
彼女と別れてからだったら、せめて、別れるという言葉があったなら、きっとしっかり受け入れることが出来たのだと思います。
願い事があるなら、何でも叶えるから正直に話して欲しいという彼の言葉にも、私は「彼女と別れて」「私と復縁して」とは、言えませんでした。
私の答えは
「○○の幸せを願ってる」
でした。

「大きくしてスクショ保存したから、元の画像はない」
私は嘘を付きました。
紛れもない彼のアイコン、彼の言葉がはっきり分かり、私の方も言葉3分の2が見えない程度のトーク画像。
「これじゃ怪しいよ」
「え?」
「Rも見るからさ、このスマホ。これじゃ分からないな」
「もしかして、偽造疑ってるの?」
「うん」


心を踏みにじられる


これが、心を踏みにじられるということなのか


かつて味わった事が無い程の痛みが、喉の奥を苦しめました。