地元に帰って来た僕は麻雀から離れることにした。専門学校で習った事
『麻雀打ちのひとりごと(4)を参照』
を活かす為に新たな資格を取ったりもした。真っ当な仕事をする、と決めたのだ。今までの時間を無駄にしないように。
しかし…だ。
結局梨の礫であった。
なし崩しにマッサージ店で仕事をしたり、派遣会社から仕事を貰ったり。
その伝手で再び東京(亀有)に行き仕事をしたり、そこでの環境でまたも体調が悪くなり地元に戻り…と、いろんな仕事を体験した数年後だった。
『果たして、これから俺はどうなるのだろう?』
そんな事を考えるようになった。
既に齢30になった頃だった。
『このまま、何も成さずに生きていくのだろうか?』
就きたかった職にも就けず、なーなーに生きてきた私。
とりあえず今やりたい事をやって飽きたらやめる、の繰り返し。
『たった一回の人生、そんなんで良いのかよ?』
私は無性に恥ずかしくなった。
今の今まで、何も積み重ねてこなかった自分が、無駄に時間を費やしていたことに。
そんな時、ふと浮かんだ。
ガキの頃から今に至るまで触れてきたもの。
麻雀。
今までの自分や、周りの人達を裏切ることになるだろう事は確かだ。でも、どうせやるならとことんやってみたかった。
ある日、私は両親に、言った。
「俺、麻雀のプロになりたい。」
そして、
私がプロの世界に飛び込んで6年が経った。
理解を示してくれた両親には今でも感謝している。
応援をしてくれる人達がいる。
だからこそ、期待に応えたい。
受けたものを背負って、進んでいきたい。
『いつまで続けるんだ』
そんな声が聞こえた。
だから、答えてやった。
『成しえるまで。』と。
終わり。