基本的に、麻雀をただ打つだけなら最低限のルールさえ守っていれば自由である。


兎に角1着になりたいなら、時にはがむしゃらに、時には冷静に、勝利までのプランニングをたてていけばいい。


麻雀を楽しみたいなら、どんな形でもアガりを目指して、突き進んでいけばいい。


自分はいついかなる時もそのスタイルで麻雀を打っていたし、地元での仕事も特にうるさくは言われなかった。


しかし、東京での麻雀の仕事ではそうはいかなかった。



…事細かに挙げていても字数が増えるだけなので、簡潔に言わせてもらえば、




     『お客の機嫌を損なうな』



という事である。


まあ、そりゃあこの仕事はサービス業な訳だし、お客ありきだからそこはしょうがないのだが、普段の麻雀とは違う縛りがついていた。


暗黙の了解、というやつが。



↓この店にあったメンバー制約


①待ちに直接引っかかった、又は役のない立直。

②着順のUPしない最終局のアガリ。

③2回以上の連続トップ…等。




小博打ながら、お客だって時間も金もかけてるのにメンバーに不機嫌にされりゃ、早々にやめてしまう事もあるだろう。そうすると卓が繋げなくなってしまうのでそのぶん店に金が落ちない。


雀荘の収入=メンバーの給料=ゲーム代 なのだ。



だから制約を背負ってでもメンバーは卓を繋げるようフォローも必要になる。何とか繋いでもらえるよう、サービスや会話も駆使しながら神経を使わなきゃならない。その結果どうなるか。



少なくとも、当時の若造の俺にはとても務まらなかった。


思い通りに麻雀は打てず、会話も上手く出来ず、負けが混むばかりのストレスが溜まる一方だった。


他の雀荘はわからないが、負ければ給料から差っ引かれる歩合制だったのだ。


当然周りのメンバーも黒字(プラス)は1人もおらず、1年余り続けていた俺が抜けた時、皆も辞めていった…。




その後、別天地で再び麻雀の仕事していたのだが、度々体調に変調を来すようになり、約2年の麻雀生活は終わりを告げた。




続く。