父と母は、とても仲が良かった。
年甲斐もなく、名前の頭文字一文字でお互いを呼び合う夫婦。
(ごるー12であれば、「ごー♡」)
父が亡くなった時、母は話してくれた。
「お互いにね、自分だけを置いて先に逝かないでねって、話してたんだよ…」
母は、あの日からずっと、父を追って行きたかったんだと思う。
子どもが小さくて、心配で私を置いていくことができなかったんだろうな。
父と母。
天然通り越して、うっかり八兵衛が二人並んだような夫婦だったけれど
私がこうありたいと思った理想の夫婦。
二人は、一緒にいてこそ、幸せなんだろうと思える。
私には、手に入れることができなかったもの。
今、ようやく母は安心して父の元へ向かっている。
私は、寂しいけれど、辛いけれど、
喜んであげたいと思う。