夢の中でもいい、もう一度あの人の声が聞きたい・・。



アタシはずっと、それが何なのかわからないまま、ずっとおびえていたのかもしれない。


ただ怖かったんだと、今ならわかる。


アタシはまだ何も成していない、これから何事かを成すんだ!


そう自分に言い聞かせる事で、自分は特別な何者かで、目に見えない不思議なチカラがあるんだって、無理やりにそう思いこもうとしていたんだ。


アタシは、何かに迷ったりしてる人の背中を押してあげたくて、そんな「優しい人」になりたかったのに、いつの間にか「優れた人」という虚像を、ただただ演じるだけの自分になっていたんだ。


あの人は、一番そばでアタシを見ていてくれた人だから、そんなアタシの心の移りかわりを、ずっと見守ってくれていたんだ。


「アタシは失敗しないから」って、どこかのドラマのセリフみたいな生き方をし始めたアタシだったけれど、「失敗をするのが人間」で、失敗から学ぼうとするのが「人間らしさ」だって、写真の中の貴方が、そう言いたげに笑ってる。


未来の道を開こうと足掻いたあの頃は、アタシの失敗だったかもしれないけれど、貴方と共に歩んできた過去こそが、踏み固められた道だったんだと、今ならはっきりとわかる。


貴方との忘れ形見はないけれども、貴方の名とアタシの名を併せたら、「共感し、心を救援する」という造語が出来る事に、ある時にアタシは気づいたんだ。




10年くらい前、暦が如月から弥生に移りゆく手前でアタシは倒れ、あの時は、アタシが貴方を置いてゆく寸前だった。


その時の退院後、貴方に連れて行ってもらった素敵なお蕎麦屋さんへ、何年かぶりに行った道中、車窓から見た荘厳な富士山は、言葉にならないくらい美しく、凛としていた。





あの頃のアタシが探していた一つは「天の時」だったり、もしくはパワースポットのような「地の利」だったりしたけれど、大切なのは「人の和」だって、やっとアタシは気づけたんだ。


それが「天地人」の意味だって事も

これからのアタシは、自分が良ければいいと思ってしまうアタシ自身の弱さと、これからもアタシがアタシ自身とずっと闘っていくから、そんなアタシの心の御守りは、貴方が居てくれた証である、貴方の名の一文字です。


言えないままだったけど、今はもう何回でも、しつこいって怒られても、貴方に言いたい。


ありがとう