彼の名は、ワラーシベ・ナガモノ。


妻と二人の子供に


恵まれたサラリーマンである。

数ヶ月前


出勤のシステムが変わったことで


給料が下がり


妻からは毎日のように


この先のお金はどうなるのかと聞かれる


そんな雰囲気の中で


リストラされたとゆう事実を


昨夜はとても言い出せず


今朝も出勤するフリをして家を出てきた



行くあてもなく


なんとなく実家の仏壇に


手を合わせに行った時


引出しから一つの古い封筒を見つけた


封筒に表記された文字を見て


心踊ったナガモノは


その封筒を


上着のポケットにねじ込み


実家を後にした。





ひと気の少ない河川敷の土手に腰掛け


ナガモノは


ポケットから封筒を取り出して


もう一度その表記された文字を確認した



"ワラーシベ家、財宝を記す
   本当に困った時にのみ、開封せよ"



ナガモノ
「チャンスだ!これで一発逆転だ笑


この先どうなるかだと?


そのセリフ(吐きたい)のは


オレも一緒じゃ!しかーし


この封筒の中に


お宝のありかが記されているので


(一撃)で解決だ」




ナガモノは丁寧に封筒を開封し


中に入っていた一枚の紙を広げ黙読した


財宝を記す紙に


書かれていたその地図は・・、







どうなるのか?じゃなくて、

   自分はどうなりたいのか想え!



ナガモノ
「なめとんのかコラァ!


ええ加減にせんかいこのアホンダラ!


シ・ア・ワ・セに


なりたいに決まっとるやろ


ボケコラカス!」



ナガモノは絶叫し


紙をビリビリに破いて捨てた。




思いっきり(吐いたら)


少し冷静になれたナガモノは


不法投棄はあかんと思い直し


紙くずを拾った。




そのナガモノに


ひとりの通行人が声を掛けてきた。


通行人
「あの・・


幸せになりたいと


ストレートな叫び声が聞こえてきて


その声の主を探したら 


ゴミ拾い運動をされてる


心の綺麗な方とお見受けしました。


それで


なんとなく


お声掛けしたくなりまして・・」



ナガモノの心の声
「なんじゃい、うっとおしい。


おれの人生とゆうドラマは


今重大な局面だっちゅーのに・・


ヒマなエキストラに


かまってる場合ちゃうわ!」



ナガモノは黙礼してから


再び不法投棄されたゴミを拾った。


ヒマなエキストラ
「あの・・


いきなりで癇に触ったらすいません。


今ウチの会社、人手が足りなくて・・


幸せになりたいと


自分の意思表示を


しっかりと行いながら


落ちてるゴミを拾う


他人をも思う心の広さに


私は心震えました。


配達の仕事なんですが


当社で働いてみませんか?」



ナガモノの心の声
「おー


この方はきっと神仏の使いに違いない!


後光が差してる」



神仏の使いの方
「免許がなくても大丈夫です。


自転車で運ぶ


ウーバーイーツ部門の


業務もありますので!」







それから・・



幸せになりたいスイッチの


入ったナガモノの人生は 


少しづつ


ゆっくりゆっくり好転していった。


時には滑ったり転んだりしながら


一生懸命に生きた。


喜んだり怒ったり哀しんだり


でも、必ず笑う(楽)ことを心掛け


ふと気がつくと


3人の孫がいるおじいちゃんとなっていた


おじいちゃんになったナガモノは


あの日のことを思い出し


心の中のご先祖様にひとりごちた。



「一番辛かったことが


今振り返ると一番良かったことです。


縁が円になる


ワラーシベ家の財宝のありかを


私も未来に(廻す)とします笑」





おしまい

※これはパロディです





西洋の先人が遺してくれた金言



自分自身を信じてみるだけでいい


きっと生きる道が見えてくる



ジョアン・ウォルギャン