お久しぶりです。読んでくださっていた方も、もう忘れているかな。
しれっと続き書きますよ。
少し前の週末ともなれば、タクトは、あの作家の個展、あの美術館へと、足繁く通ったものだった。
ここは大きな街で、直に見てみたいと思っていた絵が、少し歩けば見に行けるのだ。
本で見ていたあの有名な作品が、目の前にあるというのは、やはり格別な事だった。
良い刺激になったし、得る物も大きかった。帰宅すると、すぐに描きたい題材があった。
だが、今はどうだ。
仕事から部屋に戻り、いざ、ピンと水張りまでしたキャンバスや、スケッチブックに向かうと、何を描いたらいいのやら、まるで分からなくなってしまうのだった。
階下から、キサラと客の笑い声が聞こえる。
「また、例の魔女か…。」
今日は、やけに大きく聞こえると思いドアに目を向けると、隙間が開いていた。少し前から、ドアノブがぐらついているのを放置していたため、上手く閉まらないのだった。
タクトが面倒くさそうに閉めに行くと、キサラの黒猫が、滑り込むように入って来た。
「お前も魔女にはウンザリだよな。しばらく居てもいいぞ。」
黒猫は、ドアに頬を擦り付けると、自分の部屋のように歩き回り、眠る場所を机の上に決めたようだった。
「あっ、こら、危ないぞ!」
黒猫は、タクトが止めるのも聞かず、机に飛び乗り、弾みで置いてあったカップを床に落とした。そうしてタクト愛用のカップは、派手な音を立てて割れたのだった。
今回は、ここまで。久しぶりなのに、お読みくださってありがとうございました。
続きは、ちょっとまってね。