徒に、ただ、ただ長く治療の世界に身を置いている。
なかなか理想には近づけないでいる自分に、何十年と悩み続けているものの、ちょっとは想像し、創造するよう、努力をしている自負は、ある。
私は、施術の手法に優劣はないと思っている。
鍼が優れている。
整体が優れている。
電気療法が優れている。
○○法が最先端だ…
そんな議論を耳にすることがある。
しかし、私にはそれらは
「優れている・いない」
「効く、効かない」
を比べるものではなく、
一枚一枚のポケモンカードのように思える。
カードには、それぞれ違う能力がある。
攻撃力が高いカード。
防御力が高いカード。
回復に優れたカード。
特殊な場面で真価を発揮するカード。
どれも役割が違うだけであり、最強の一枚というものは存在しない。
そして、施術者もまた一枚のカードである。
同じ技術を学んでいても、
経験は違う。
感覚は違う。
観察力も、説明力も、人との向き合い方も違う。
だから、「○○先生だから診てもらいたい」という信頼が生まれる。
本当の力とは、強さそのものではない。目の前の人に合わせて、自分の持つカードを選び、時には新しいカードを手に入れながら歩み続けること。
それが、施術者の強さなのだと思う。
自然界も同じである。
力だけを持つものが生き残るのではない。
環境や状況に応じて姿を変え、『適応』できるものが生き残る。
施術もまた、その連続だ。
患者は一人ひとり違う。
昨日の正解が、今日の正解とは限らない。
だから私は、「最強」を目指したいとは思わない。
たくさんのカードを理解し、その価値を認め、それぞれが輝く場面を知る施術者でありたい。
そして、各ポケモンに様々なファンがいるように、施術にも、施術者にも、それぞれを必要とする人がいる。
強さだけでは、人は選ばない。
人は、自分に合う一枚を選ぶ。
私は、その一枚になれる施術者でありたい。
しかし…
なかなかそのカードを引けない、引かれないからこそ、面白いのかもしれない。