35年間ありがとうございました。

 

世の中には、偏りが強かったり、同級生と同じスピードで歩けない子どももいます。

私は教育学部出ではないのですが、

実体験の中で、

子どもたちと関わる中で、それを学ばせてもらいました。

 

 

彼は、すねていたけれど、心根の優しい子です。

 

捨て猫を見つけたとき、

先生の人脈で、飼ってくれる人を探してよと連絡してきたこともありました。

 

 

私が彼を激怒したとき、

本当にみんながもうこれであいつは塾を辞めるだろうと思っていたようです。

 

 

次の学習日、生憎私は東京に出張で不在でした。

 

 

夕方、

打ち合わせしている私に、

同級生の女子生徒からメールが入りました。

 

 

「先生、○○来たよ!

先生勝ったね!

先生の想いが通じたね!」

 

長い間には、こんな出来事もありました。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

バカだった卒業生

会社員。一児の父。

 

 

ゴクセン番場さち子へ

 

 

先生、俺はがっかりだよ。

教室辞めるってホントかよ。

 

 

俺が番場塾に入ったのは、中学3年生のときだった。

 

 

震災で、友達も帰ってこない奴らも居て、

それでさえ少なかった俺の友達はさらに減った。

 

 

 

俺はバカだった。

 

まず、小学生の頃から勉強ができなかった。

 

 

授業も聞いててもちんぷんかんぷんで、

暇だから、授業中に内職したり、となりの席の子にいたずらしたり、

「あー、つまんねえ」なんて大声出したりもした。

 

 

学校の先生は、

女の先生なんか、キーキー大声出して怒るし、

男の先生なんかは、

「そんなにやる気ないなら、もう学校来んな!」

って言ってたよ。

どこにも居場所がなかった。

 

 

学校サボっても、親は仕事に行っちゃうと

一人でゲームするか、

テレビ見て、ボーっと過ごすだけ。

 

あー・・・つまんねえな。

おれの人生どうなんのかなって思ってた。

 

 

たまに学校行くと、

授業さっぱりわかんねえし。

 

 

友達が、受験を考えて、塾に行きだしたって聞いて、

塾ってどんなことするんだ?

学校帰りについて行った。

 

 

突然行った俺に、

ゴクセンと言われていた番場さち子は、

「ふーん、3年生?高校どこ行きたいの?」ってきいた。

 

 

おっかなそうだけど、まあ友達も行ってるから、

俺も行くかって通いだした。

 

 

たまに友達に会うと、テンション上がる。

学校サボっても、塾だけは行ったりしてた。

 

 

 

ある日、

ふざけてたら、

ゴクセンが、いきなり俺に向かってきた。

 

 

 

俺はカーッとなって、

あの時のこと、よく覚えていない。

 

 

でも、

ゴクセンが、

「先生は本気でお前のこと高校入れてあげたいと思ってる!!」って、目が本気だったことは覚えてる。

 

 

俺は確か、ゴクセンを殴り返そうとしたのかもしれない。

両手をすごい力で抑えられて、

しつこく離さなかった。

 

 

教室のみんなは、俺がもう塾を辞めるって思ったらしいよ。

あんなに先生に怒られたんだから・・・って。

 

 

俺の人生で、

俺に本気で向かって来てくれたのは、ゴクセンだけだ。

だから、俺は高校に合格するまで通った。

 

 

高校生になって、

数学のテストで、80点が取れた。

バカだった俺には、晴天の霹靂だ。

 

 

誰かに言いたかった。

その頃は、駅前に移っていた教室にひょっこり寄って、

テストを見せた。

 

先生は、品のいいカップに紅茶を淹れてくれて、

「良かったねぇ」って笑った。

嬉しかった。

 

 

また、ある時は、

教室に寄った俺に

「先生に黙ってることあるよね?」

と言った。

 

小学生のときから、

先生に怒られてばかり居た俺はギクリとした。

 

なんてことはなくて、

当時つきあっていた彼女と手をつないで歩いていた俺のことを友達がちくったらしい。

「○○←俺の名前 の良さを理解してくれる人がいて良かったじゃん」

と言ってくれた。

 

 

 

成人式には、スーツ姿を見せに行った。

他の生徒と会うのは恥ずかしいから、俺だけ時間ずらして見せに行った。

先生は、やめろっていうのに、

俺の写真を取りまくった。

 

 

俺は、会社員になった。

あの時、ゴクセンとの出会いがなければ、

俺はきっと高校も行っていないし、

会社勤めもできていない。

 

 

教室なくなったらさ、

俺、どこへ行けばいいんだよ?

 

 

ゴクセン番場さち子、

大嫌いだけど、大好きだよ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

※写真は筆者とは関係ありません。

 

楽しい時間をありがとう。

私も成長させてもらいました。