震災直後から、私は東京電力の社員と、いろんな軋轢があり

実害受けただけでなく、

ロクな社員が居ないと思ってきたのでした。

 

一番最初に、東京電力の社員と対面したのは、

損害賠償の相談会。

 

商工会議所に私のような自営業者が集められ

対面でお話しを聴いていただくはずでした。

 

私の順番になったとき

私の担当の社員の男性が、

「うちの子どもが、お父さんは東電社員だと学校で虐めにあっているんですよ・・・」

と、話を聴いていただくはずが、反対に悩みを聴かされる羽目になり、

「大変でしょうね・・・」と、

これまたアホのような返答を返し、

私は自分のことはあまり話せずに帰ってきたように思います。

 

先制攻撃されたようで、

もう説明会や、相談会には行くまいと思った・・・初めての相談会でした。

 

 

トラック4台分の教材や荷物を処分した話は有名になりました。

あの混乱期、私の苦渋の決断でした。

 

周りの勧めで、それを東京電力に請求を出したとき

私の担当者は電話の向こうで

「東電はあなたに塾を辞めてくれと言っていません。

それはあなたの自己決断ですよね。

あなたの塾生が居なくなったことと、原発事故は因果関係がありません。」

と冷酷に言い放ちました。

それまで弁護士から自己破産を勧められて、途方に暮れていた私が逆上し

 

「じゃあ、114名居た生徒が居なくなったのはどうしてなんですか?

津波で、命を落とした生徒はいますけど、

残りの生徒は存在したはずじゃないか!!」

と電話でやりあい、

私はすっかりと血圧が上がり

あの頃、下が100 上が200を超えたりしていました。

 

激怒して、涙に変わった私が、

「あなたは突然収入が途絶え、蓄えが0になる者の気持ちがわかりますか?」

と訴えた時、

私の担当社員はため息をつき

「・・はぁ・・・大変でしょうね!」

と、まったく感情のない声で再び言い放ち、私の神経を逆なでしました。

 

 

もう二度と東京電力からの電話は御免こうむります。と思い、

東京電力からの電話は着信拒否もしていました。

それほど私は東京電力を嫌悪、憎悪していました。

 

 

 

2015年の夏

大和田順子先生の再三のお誘いを受け

私はJヴィレッジに出向きました。

 

本当は気乗りがしなかったのです。

息子は小学校時代、サッカー少年で、

毎日グラウンドを走り回っている子どもでした。

そんなサッカー少年にとって、Jヴィレッジは野球少年の甲子園のように聖地だったわけです。

息子のチームとともに、私も何度かJヴィレッジを訪ねたことがあります。

防護服の処理施設になっていることや

青々した美しい芝生は剥がされ、駐車場になっていることを聞き、

見たくないのが本音でした。

 

 

そこで、初めて福島復興本社の石崎代表にお会いしました。

私の顔を見るなり

「ベテランママの会の番場さんですね?」とお声掛けられ仰天しました。

 

「私たちが作りました放射線教室の冊子をご存知ですか?」と返しましたら

「存じております」と、また意外な答えが返ってきたことに、二度びっくりしたことを

よく記憶しています。

 

福島に住みながら、私は復興本社を知らずに活動してきました。

 

石崎代表との出会いから、

あんなに毛嫌いしていた、東京電力の方々との関係が再開したのです。

 

福島の現場に赴任して来ている社員の方の中には

志の高い、本当に福島を何とかしたいと思って志願して転勤してきた方もいます。

 

5時間も身の上話をしてお帰りになったSさんも、

賠償のことでお骨折りしてくれたM部長も、K課長も、(結局、本店が許可せず撃沈)

地域のマネージャーをしているEさんもYさんも、

皆さん話しやすくて、とても良い方ばかりです。

福島の現場にいる社員さんは、一生懸命お骨折りしてくれています。

 

残念ながら、東京電力のことは、未だに理解できませんが、

現場で働く彼らが悪いわけではないし、

私は彼らが教室を訪ねてくると、お茶を出して歓待します。

 

 

つい先日、たまたまK課長がフェイスブックを始められたことを知り、

私からリクエストを送りました。

 

埼玉に異動になってからも、福島には二度訪ねたこと。

私たちが作りましたベテランママの会オリジナルのカレンダーも2冊購入してくださったこと。

そんなことを初めて知りました。

 

実直なKさんは、いつも電話を掛けてくるとき

「大変ご迷惑をおかけしております。東京電力のKと申します・・」

と長々名乗るので、

私は途中で吹き出して、いつも二人で笑ったりしてから本題に入ったものでした。

 

 

私のところには、様々なご意見が届きます。

復興本社はパフォーマンス集団ではないかという声も多数届いています。

 

彼らが本気で福島を復興させようとしているのか否か

ここは一緒にお手並みを拝見させていただきましょう。

今はそんな気持ちになっています。

 

東京電力は、東京電力ホールディングス株式会社と名前を変更しました。

責任を分割しただけではないのか?とご意見する方もいらっしゃいますが、

彼らの本気度を拝見させていただこうと、私はこのように思っているのです。

私が甘いかどうか、きっと結果が見えるようになると、私は密かに思っています。

出来れば、私が存命のうちに、その結果を見せていただきたいとも思っています。