神奈川県知事黒岩祐治氏オフィシャルブログより転載させていただきました。
http://kuroiwa.com/?columns=1223
「NURSE SENKA」2006年 5月号
遅れている日本におけるディスレクシア(読字障害)の支援態勢(2006年 5月号)
トム・クルーズやアインシュタインもそうだった
「ディスレクシア」って知っていますか?
LD(学習障害)の一つで「読字障害」と訳しています。文字を読むことが苦手で、文字を読んでも意味がほとんど頭に入らないといいます。
本読みがうまくできませんから、小学校時代は頭の悪い子だと思われていることが多いようです。
しかし、文字が読めないだけで、他の能力には問題がない人もたくさんいます。
それどころか、天才的な能力を発揮する人も少なくありません。
アメリカの映画スター、トム・クルーズが自ら「ディスレクシア」であることを告白しました。
あれだけの大スターでありながら、実はシナリオを自分で読んで理解し、覚えることができなかったということです。
アインシュタイン、チャーチル首相などもそうだったといいます。
日本でも人口の5~6%が「ディスレクシア」だそうです。
そんなにたくさんいるってことに驚きませんか? 一クラス40人とすれば、2人はいたわけです。
そのわりに私たちはあまりにも実態を知らなさすぎると思いませんか?
欧米ではもっと数が多く、一般的にもより広く知られているため、支援態勢が充実しているといいます。
大阪医科大学では言語聴覚士によるマンツーマンのトレーニングが行われていました。
小学生の男の子は一生懸命に本を声に出して読む練習をしていました。たどたどしいながらも、なんとか文字を読むことはできるのですが、自分の読んだ文章の意味を聞かれると、全く理解できていません。
ところがその同じ文章を他人に読んでもらうと、完全に理解できました。
母親は次のように語りました。
「周りの人の理解がないと本人はつらいですよね。アホ呼ばわりされてしまいますからね」
文字が識別できないことを本人も周りを気づかず放置されている
ディスレクシアは脳の文字を識別する部分に障害がありますが、病気ではありません。
文字が二重にダブって見えたり、ひっくり返って見えたり、歪んで見えたり、一部の文字が動いているように見えるのだといいます。
日本人は欧米人より数が少ないというのは、文字の違いから症状が発見されにくいだけではないかと大阪教育大学名誉教授の竹田契一さんは指摘します。
アルファベットはすべて記号のようなものですが、日本語の漢字はカタチそのものがある程度、言葉の意味を表しています。
それゆえ、勘を働かして解読しやすいのではないかというのです。
つまり、日本ではほんとうはディスレクシアなのに、分からないままに放置されている子供たちがたくさんいるということです。
彼らはただ勉強ができない子として周りから見られ、自分もそう思い込んでいるに違いありません。
彼らの秘められた才能が眠らされたままになっているとしたら、社会にとっても大きな損失です。
イギリス留学で開花、建築デザインコンペに見事入賞する
日本では分からなかったのに、イギリスに行ってディスレクシアと診断された人がいます。建築の勉強のためにイギリスに留学中の藤堂高直さんです。東北大学の建築デザインの企画コンペに応募し、見事に入賞を果たしました。彼が自分の作品について語るのを聞いていると、圧倒されてしまいます。まさに天才特有の喋り方だと私は思いました。
「光による演出。外から中に入る時に変わる空間の質。そのふたつを最もダイナミックに表現できる媒体は何か? それでめぐり合ったのがプリズム。これまで誰にも使われたことがない光をコントロールできるのではないかって考えたんです」
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10年前の黒岩神奈川県知事が書かれた記事です。
6月11日(土)11時から黒岩知事、竹田契一先生、藤堂栄子、藤堂高直でこの番組から10年経ってという対談を行います。
神奈川県民ホール小ホールです。
アジア太平洋ディスレクシアフェスティバル&シンポジウム...
他にも話題満載のイベントです。ぜひご参加を