"ご飯食べに行かない?"
その日は突然決まった。
お互いに土日休みでは無い為
(私に家庭があるのも理由)
平日私が休んで会うことになった
場所は近所の商業施設
そして当日
胸が踊るとはまさに今のことだろう
メイクにも気合いが入る
何度も鏡でチェックする
誰かのために可愛くなりたいなんて
これまた久しぶりすぎて忘れてた感情
どんだけ錆び付いてんだ私は。
向かう道中の何気ない景色も行き交う人も
この日は全てがキラキラしていた。
約束の時間を少し回って彼が来た
予想外に道が混んでいたらしい。
謝る彼を直視出来なかった
緊張しすぎて吐きそうだった
しばらく視線を合わせることなく
会話しながら施設内を周り
店内のフードコートで
先にランチをする事にした。
何も言わずに会計してくれたのに
感動してしまった。
旦那と交際中は割り勘が当然だった
向かい合わせに座って食事を始めた
この時初めて顔をちゃんと見た
キュンとした
写真と変わらない彼に
つい見とれてしまう私がいた
"俺写真と違わない?大丈夫?"
"全然変わんないよ!私は?"
"変わんない!超可愛い!"
可愛いだって…。
惜しげも無くそんな事が言えるなんて
チャラい…チャラすぎる…
(私が言う言葉ではない)
"なんでプリンは昼顔してんの?"
ドキッとした
やっぱり気になるんだソコ。
"1人で全部するのに疲れてね~"
無意識に口から日頃の愚痴が溢れて
脳内に日常の風景を思い出し
涙目になってしまった
駄目駄目駄目駄目駄目
今日だけは非現実でいたいの!!
"一緒にいる時は旦那のこと考えたくない"
笑顔で話題を変えた
食事を終え、再び施設内を散策
いろんな雑貨を手に取っては
ボケとツッコミを繰り返していた
傍から見ればカップルなんだろうな
三時のおやつをするために
商業施設を出て近くの喫茶店へ移動
その道中いきなり手を握られ
"なんでプリンけっこんしてんだよ"
"付き合って"
美味しくパンケーキを食べて
その日は帰路に着いた。