『ののはな通信』読了

 

 

 ミッション系お嬢様学校聖フランチェスカに通う野々原茜(のの)と、牧田はな(はな)は、学校で沢山おしゃべりし、授業中も小さなメモ用紙に書いた手紙をまわし、家に帰ってすぐ電話でおしゃべりし、夜は相手に手紙を書いても書き足りないほどの大親友。

 

 ののは娘には良い大学に進み金持ちの男を捕まえて養ってほしいと願う裕福ではない両親が無理してミッション系に通わせているだけで神様なんてこれっぽっちも信じていない成績優秀なクールな美少女。

 

 はなは父親が外交官で中学までは海外で暮らすことが多かったが高校からは妹と二人暮らし(お手伝いさんが食事や掃除)な裕福で天真爛漫なふわっとした雰囲気の勉強は少し苦手な女の子。

 

 そんな二人が通う学校で唯一若い(といっても30代妻子持ち。妻は同校の元教え子)の男性教師が、ののとはなのクラスメイトの女生徒とラブホテルで不倫していると一部で噂になってしまっていた。

 

 

 

 最初から最後まで二人の手紙(途中からPCでメール)でのやり取りのみで話が進みます。昭和59年に高校二年生なので最初は手紙でのやり取り。ストーリーの中ほどで2010年に飛び(42~3歳)、そこからはPCでメールのやり取りになります(書簡体小説)。

 

 最初は親友同士の手紙のやり取りですが、片方が恋愛感情を持つようになったと告白して付き合うようになり体の関係も持ちますが、片方が相手を裏切っていたことが発覚し、二人の関係がこじれていきます。

 

 昭和から平成になったところで前半終了。後半は飛んで2010年です。NHKBSのアナザーストーリーという番組4/29の18:45分からちょうど『昭和が終わった日』をやるみたいなので、観てみたら臨場感が更に増すかもしれません。

 

 百合好きな人が『百合ものなんだ~』と安易に読むと、こういうのは求めてない…ってなるかもしれません(男性との関係持ったり結婚したりもあるので)。後半は特に同性愛要素より社会情勢が不穏(架空の国)な要素がメインですし。

 

 勉強が出来るという意味で頭が良いのはののだけど、生きていく上での聡明さ意志の強さははなだなと思います。

 

 この作品を読んでる途中に三浦しをんさん原作のBSNHKドラマ『舟を編む』を観ていましたが、脚本家さん多分『ののはな通信』読んだんじゃないかな?ってキーワードがちょいちょい。ドラマ最終回のみどりが『柑橘』の見出し語を探してたけど(がんに繋げるためとはいえ)、『ののはな通信』に『柑橘系のオレンジ色』が中々なキーワードとして出てくるし(後半の更に後半)、同性愛の話(後半はそこから離れるけど)だし。他にも色々。

 

 

 『舟を編む』最終回ボロ泣きしました。素敵なドラマでした。地上波でも放送されてBSでは観られなかった方にも観てほしいです。最終回観てから一話からもう一度観なおすと新たな発見というか、伏線貼ってたんだなということに気づいて愉しいです。

 

 スピンオフで『ゆうゆうらくらく』編集者が頑張ったのとか観てみたい(笑)電子書籍のみになってしまってどうやって高齢者に受け入れてもらえるように奮闘したのか、紙も残せるように奮闘したのかとか。あと天童君のパートナーとのエピソードとか。

 

 みどりと天童君が姉弟みたいな関係になってるの微笑ましくて好きでした。大渡海第○版の監修は日本語学者になった天童君で、その時の主任はみどりなんだろうなぁ~っていう未来を想像しました。

 

 

 今日は『世界図書・著作権の日』『こども読書の日』『男性が薔薇と麦の穂を、女性が本を贈るサン・ジョルディの日』

男性カップルならお互い薔薇と麦の穂を、女性カップルならお互いに本を贈りあうんでしょうか。薔薇と本をどっちも(もしくは相手の好きな方を)お互いに贈りあうんでしょうか。