校庭に咲いてる
  サクラの花びらが
  こんな遠くまでたどりつく。




  サクラの花びらを
  風が運んで
  私のもとに舞いおちる。




  まいりましたってくらい
  好きだった君も
  どこかでサクラを見ているのかな。
  舞い散る花を見ているのかな。




  帰り際、電話するねと
  握手したあなたの手のひらは
  ささくれてて
  仕事頑張ってるってわかる手だった。




  電話かかってきたあの日。
  ラーメン食べてるって言えなくて
  すっかりのびた麺眺めて
  苦笑いした。




  君との日々もいつの間にか
  すれ違いの日々にかわり
  寂しさともどかしさが支配した。




  『友だちにはもうなれないよ。
    別れるってそういうことでしょ。』




  自転車ですれ違った少年。
  君と同じ匂いがして
  ハッとした。
  



  振り返ったら
  もう見えなくて
  残り香のなか立ちつくす
  青く澄んだ街角。




  サクラの花びらが
  『大丈夫だよ』と言うように
  青く甘いこんな私に
  寄り添うように落ちてくる。





  傷ついた君にも
  傷つけた私にも
  サクラはひとしく優しくて。




  立ちつくした私を
  なぐさめるように
  そよそよ吹く風が
  サクラ色の花びらを
  運んできてくれる。



  大丈夫だよ。
  と、言うように
  ひらひら優しく
  舞いおちる。










  



  
  
  



  『嘘でしょ?ほんとに?
      またまたぁ。 』



  ん。予想外の反応。
  別にふたりで遠くに出掛けなくても
  一緒にスーパー、コンビニ
  行けるだけでシアワセって
  嘘っぽく聞こえるのかな。




  逆に遠出とか
  インドア派には
  重いお腰があがらなくって
  お家の近くが丁度いい。




  夜店で売ってる
  おもちゃの指輪。
  好きな人が買ってくれたら
  宝物。




  高級な指輪買うなら
  新しい自転車
  買って欲しい。




  たこ焼き。
  イカ焼き。
  りんごあめ。
  私には最高のディナーです。




  ベビーカステラは
  2つ買ってね。
  1つは明日の朝たべるから。




  これが私のシアワセのハードル。
  たまには高くしたくなるのかな。




  これは私のシアワセのハードル。
  こんなオトナがいてもいいよね。




  これが私のシアワセのハードル。
  でも、ほんとは君が
  ムリにハードル合わせてないか
  ちょっと心配になる時もあるよ。




  だけど
  キャンプに2人で行かなきゃ
  意味ないじゃん
  とか言い出したらどうしよう。




  今年も
  宝石箱に一つ
  おもちゃの指輪
  仲間入りできるかな?




  いつか
  宝石箱が
  おもちゃの指輪で
  あふれる日がくるのかな。





  
  




  風に吹かれ
  かさかさと
  木の葉が転がる音が
  聞こえてくる



  手の平の中に包み
  ギュッと握ると
  バラバラに崩れてしまいそうな
  木の葉の音



  いつものスーパーマーケット
  カートを押しながら
  一緒に歩く家族連れや恋人たち



  何を買おうか
  迷う会話も楽しそうな
  学校帰りの学生たち



  そんな姿に人恋しさを感じるのは
  この季節のせいなのかな



  いつひとりになったんだっけ?
  どんな季節だったのか
  思い出せない



  ただ思い出せるのは
  君と彼がいることで
  私の心のバランスは
  保てていたってこと
  


  甘く浅い私



  きっと傷つくたび
  脱皮したんじゃなくて
  人間としての本能を
  かさぶたと一緒にぽろぽろ落として
  きたんだろう



  別れるのは見捨てられること
  私は
  見捨てられるのがこわかった



  だから君だけじゃなかった
  一途じゃなかった
  独りぼっちになるのがこわかった



  自分に自信がある人なんて
  いるのかな?
  カッコよくて何でもできる君が
  そんなこと言うなんて意外だった



  あの頃は
  きれいな人を見るたび
  君の隣にはこんな人が似合うんだろうと
  へこんでた



  名前を呼び間違えた夜
  怒りを抑えた君がいた



  それでも
  そんな最低な私でも



  どんなことがあっても
  何があっても
  見捨てないでいてくれる
  そんな人が欲しかったんだ



  甘く苦い私。
  青く甘いわたし。