そのとき低く厚い雲が急に退避して、深く明るい青空がひろがる。
現れると言ってもいい。
青の上の太陽が強く黄色く射すようで足元のアスファルトすら濃淡をあらわす。
灰色一色でなかったことにはじめて気づく。
晴れた、空だ、風が透明で冷たい、背中から吹く一陣。押されたように走りだす。
まだら模様のアスファルトを軽く蹴って踏み出してみたらもう止まらなかった。
一歩一歩踏み出すたびに足の指先に力が入る。着地点がだんだん遠くなる。
バランスの悪いハイヒール、踵がさらに削れようと気にしない。
息が上がるのは全速で走っているからではない。
黄色い光が目を射した。涙が溢れそうだ。
