このページは防弾少年団の妄想ショートストーリーです。
(株)バンタンエンタープライズ
「ほら、何食べたい?なんでもいいの?」
ジミンに手を引かれ、ジョングクは歩き出した。聞かれたことを考える。
「ごめんなさい、僕。」
続きを言いかけているジョングクをジミンは前から顔を見るためにその顔を覗き込んだ。ばつが悪そうに節目がちにジミンの顔をチラチラっとだけ見る。
「さっきまでの勢いはどこ行った?」
ジミンも揶揄うように話しかける。
「あ、あの、その。」
しどろもどろなるジョングクにジミンは、
「ごめんね。楽しみにしてるのわかってたよ。デートの約束するたびに、いつ?って感じて、耳がピンと立つと言うか、いよいよ?って嬉しそうにはしゃぐジョングクが私の返事でしゅーんって気持ちが凹むの感じてないわけじゃなかったから。でも、言い訳するけど、ちょっと仕事も忙しかったし、家に呼ぶってハードルも越えないといけないわけだし、、、
正直に言うけど、ソウルに来てから、家に男の人が来たことないの。大学出てから、彼氏もずっといなかったし、、、だからちょっと気合を入れてお迎えしたかったって言うか、入れすぎてだんだんと誘えなくなったって言うか、、、楽しみにしてくれてるのに応えなくてほんとにごめんね。」
ジミンはそこまで言うと見上げてジョングクの顔を見た。ジョングクはそんなジミンの手をギュッと強く握り、口を真一文字に結んでいた。
「何その顔、」
ってジミンが冷やかすと、
「だ、だから、ジミン氏が悪いんです!」
って、反省半分でジミンにそう告げた。そんなジョングクを見てジミンはしばらく黙ったまま見つめていたけど、
「じゃぁ、今からうちに来る?」
って言った。その顔は、口はちょっと開いたまま、目は上目遣いにジョングクを素直に見ていた。ジョングクはジミンからの思いもよらない誘いに困惑の色を見せた。でもそれは、急に誘われて今までめちゃめちゃ楽しみにしていたから嬉しさが舞い上がってしまって、アドレナリンが大量噴射して、ピューんと宇宙の端まで穴の開いた風船がひとっ飛びしてるんだけど軌道は修正できなくてでもみるみる間に予想もしない方向に飛んでいってしまった、そんな感情だった。
見つめるジミンにやっと返事。
「い゛い゛ん゛ですか!」
ジミンはあはははと笑いながら、
「いいんです!」
と親指を立てて見せた。ジョングクは一瞬の間に大きな目をさらにぐんぐんと大きくさせて、
「ぃやったー!」
と両腕を天高く突き上げ仰反るように大きな声で叫んだ。
「なだやー、もう、声が大きい!」
ジミンにそう怒られたが、ジョングクは嬉しくて、
「ご、ご飯はご飯はどうしますか?食べてからいきますか?買って帰りますか?」
と大興奮。さっきまで怒ったり落ち込んだりしてたくせに、でもそんなジョングクにジミンは嬉しくなって、
「どっちがいいの?」
と一応聞いてみるとジョングクは素直に嬉しそうにはっきりとした声で、
「ジミン氏んちで食べたいです!」
と予想通りの返答だった。
「ほら、なら行こう。」
ジミンはそう言ってジョングクの手を引っ張った。
「もう、バス乗っちゃおう。」
ジミンはそう言い、続けて、
「出前にしよう。いつも頼むところあるから、そこでいい?」
とジョングクに聞く。ジョングクはうんうんと頷いた。二人でバスに乗り込み、二人で席に座れた。いつもの他愛もない話をしているのに、ジョングクはソワソワしている感じ、そんなジョングクに気がついたジミンは、
「何、怖気付いた?敵前逃亡する?今なら引き返せるよ。」
と意地悪を言いながら笑う。ジョングクはそう言われ、行きたいけど、何だかドキドキしてきて、
「ジミン氏、僕はどうしたらいいんでしょうか?」
と何だか情けない顔で聞いてきた。ジミンはやっぱり笑った。
「何だ何だ、今日は最初の一歩でしょ?私も踏み出せたんだよ、ジョングクのおかげで、ね、今日はジミンのお家でお家デート。まー、何のおもてなしもできないけどね。それでいいじゃん、あ、そだそだ、いつも頼む出前はね、ヤンニョムチキンがめっちゃ美味しいんだよ。教えてあげたいなーって思ってたからさ、楽しみにしてて、頼んだことないんだけどね、クリームソーダ味のチキンとかもあるんだよ。頼んでみる?でも、変な味だったら嫌じゃん、どう思う?」
やっぱりちょっと恥ずかしそうに話し出すジミンにジョングクも気がついて、
「普通でいいです。ジミン氏。でも、僕が払うからね。」
そう言ってジミンに微笑んだ。
写真お借りしました。
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