このページは防弾少年団の妄想ショートストーリーです。
「ジミン氏、」
「んー?」
仕事終わりのいつもの会話、ジミンとジョングクは付き合い始めていつものような日常を過ごしていた。朝仕事に来て、一緒に働いて、これまでと同じようにお昼は各自で食べて、ただ帰る時は用事がなければ相手を待つ、待ってバス停まで行って、バイバイを言って別れる。たまに仕事帰りにデートをして、たまに週末を一緒に過ごす。そんな感じだった、でもジョングクは、
「ジミン氏、」
と仕事が終わってから真剣な顔。
「何、どうしたの?」
ジミンはいつものように、やれやれ今度は何が言いたいんだと言わんばかりにジョンクグを見た。
「どうしていつも僕の言いたいことややりたいことをわかってくれないんですか?」
ジョングクはジミン氏は僕のこと理解しているのに、やっぱり知らんぷりしているでしょうと言ってきた。ジミンはジョングクをまっすぐと見ていたが、視線は動かさず首を15度ほど左に倒し固定し無言のまま見つめ続けた。
「ほらそうやって、わかっているのに僕に何も言わせないようにしてる!」
「んー、わからないけど、わかるような、でもわからないけど、じゃぁ、ご飯でも行く?」
そう応えたジミンに、
「だからそうじゃないんだけど、」
腹だたしそうにつっけんどに答える。
「じゃあ帰る?」
「だから、それも違うんだけど、」
「じゃぁどうしたいのさ、」
と、問い詰めるジミンに、
「じゃぁ、ご飯に行きます。」
と、やっぱりジミン氏は全然僕のことをわかってくれないと、ジョングクはご立腹だった。
会社を出て、ん、と、ジミンはジョングクに手を差し出した。ジョングクはそれを見て不本意だなって顔をした。
「手、繋がないの?」
ジミンにそう聞かれ、繋ぎたくないわけじゃないから余計になんだか腹が立って、
「だからそうじゃないのに。」
って言ったけど、ジミンの手は取った。それで徐にこう言った。
「だから僕はいつジミン氏んちに遊びに行けるんですか!」
ご飯の席まで話を待つことができずジョングクは歩き出そうとしたジミンを制するように大きな声でそう言った。ジミンは驚き、え?って、引っ張られるような形になって一歩出てしまった足を、後ずさりするように戻した。
「え?その事?」
「え?その事じゃないですよ。あー、もう、本当にジミン氏嫌いです。」
ジョングクは鼻に皺を入れ、ヒクヒクとひくつかせて、口を結ぶ。ジミンはそんなジョングクが少し落ち着くのを待ってから口を開いた。
「私だって意地悪しているわけじゃないけど、色々呼ぶには準備も必要だし、簡単じゃないの。」
ってそう言った。
「じゃぁ、簡単に遊びにきてね、なんて言わなかったらいいじゃないですか!」
また怒った口調で言ったジョングクにジミンは、
「そんなこと言わないでよ。ちゃんと呼ぶから。」
とジョングクを諭すように話しかけた。それでもジョングクは食い下がらず、
「あー、ほんとに僕は彼氏になったと世間からは認めてもらったのかもしれないけど、全然したいことできてません!そりゃ、ジミン氏は僕のことちゃんと見てくれてるのかもしれないけど、僕、ジミン氏が遊びに来てって言ってくれてからめちゃめちゃ楽しみにしてるのに。なんでなんですか?もう、誘ってもらってからめっちゃ時間経ってます。それなのにいつもお外でご飯、お外でデート、ジミン氏の口からなかなかおうちにお誘いがないから、僕、めっちゃ嫌です。」
ジョングクはやっぱり自分の気持ちが強く出て、ジミンに強い口調で言い放ってしまった。それを聞いてジミンは胸に抑えていたピンが抜けてしまったようにはっきりとした口調で言い返した。
「彼氏を家に呼びたい気持ちになんの嘘もないのに、なのに私が軽口叩いたみたいなこと言われなきゃいけないのよ。」
ジミンは少し上目遣いにジョングクを見て続ける。
「呼びたいけど、家はあんまり片付いてないし、ご飯だって作ってあげたいのに、なかなかこれってものが作れるようにならないし、私にだってしてあげたい気持ちとは裏腹にうまくいかないことがあるの。ジョングクはお家も片付いてて、お誕生日プレートは素敵だったし、2人で買いに行こうなんて言ってたのにめっちゃ支度してたでしょ、なんでも器用にこなせるジョングクと私は違う。私、出来ないことは出来ないって言おうと思っているし、無理はしないで付き合っていきたいって思ってる。それでも、してあげたい気持ちが優っているから、家に来てもらう時は私なりのおもてなしがしたいの。
もういいよ、来なくて。
もういい、来てくれなくて。
今来てくれたって出前頼んで終わり。一つぐらい、私のお料理美味しかったって言ってもらいたくて、時間かかってるけど、用意できるようにしてるのに。
ジョングク、なんでそんなにせっかちなの?少しぐらい待ちなさいよ。」
とジミンは言い切った。ジョングクはジミンにそう言い切られて自分の気持ちとは裏腹にジミンが自分に対して素直であることに恥ずかしくなった。だけど謝りたいけど言葉が出ない。ジミンはそんなジョングクを強い目でじっと見てる。それに耐えられなくなってジョングクはやっと言葉を発した。
「ジ、ジミン氏が悪いんです!」
ジミンはジョングクの発言に目を大きく見開きジョングクを見た。ジミンに見つめられてそれ以上なんの言葉も出てこないジョングクは小さく短く息を吸いながら、口先を少々尖らせてジミンを見たり視線を外したり、まごまごしていた。そんなジョングクにジミンは大きな声で笑いだした。家路を急ぐ通行人たちが大笑いをするジミンに視線を送るもジミンは全く気にせずに笑い続けた。それから徐ろに言った。
「あー、もー、ほんと、困った人。」
そう言われてジョングクは、
「ごめんなさい。」
と小さく謝った。
「ほら、ご飯食べて、帰ろう。」
ジミンはそう言いジョングクと手を繋ぎ直した。ジョングクはごめんなさいって表情で、
「はい。」
と答えた。
写真お借りしました
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