7/25

現在、公立大学の学生さんや、児童心理学に携わることから、筑波大学の人間科学の教授/研究員さんらとの勉強会に参加させて頂いている中、東京大学の大学院に進んだアゴライズの元京大の哲学科の学生さんから、「児童心理の研究&臨床をしている先生だから」と、東京大学大学院教育学研究科付属発達保育実践政策センターに繋がれ、今日は、東京大学 CEDEP 准教授の野澤 祥子先生、聖徳大学 名誉教授である椨 瑞希子先生、ロンドン大学University College教育研究所の教授であるリン・アン先生、東京大学大学院 教授・発達保育実践政策学センター 副センター長である浅井 幸子先生と共に、『保育・幼児教育現場における乳幼児のことばの発達と相互作用の支援Supporting young children’s early language development and interactions in early childhood education and care settings)』について考えさせて頂きました。


本講演の話を聴く中で、就学前の言語発達というのは、学業成績と繋がり、コミュニケーション発達は、家族環境が大きいとされることから、『教育におけるプログラムの質』だけでなく、『大人と子どもの相互作用の質』を意識することが大事とされ、それは遊びの中での発達、自由度というのも大きいと考えられ、乳児期の子ども同士の関わりによる刺激によっても発達するというエビデンスが示されているため、教育戦略としての『アイコンタクトの維持』『子どもからのコミュニケーションの引き出し』等もとても大事であり、短い単語ではなく、『言葉を広げ』、『伸ばすこと』、『オープンエンドの質問』、『子どものリードに従う』、そして、『より多くの話を引き出し』、『考えさせ』、そのために『待ってあげること』が重要とお話されていたわけで、、、


その点については、私においても、神経発達児の未就学児支援に大学時から関わり、放課後等デイサービスや保育施設にて、自発性が乏しい児童に対する言語訓練を行い、会話を引き出し、興味を持てるようにしたことで、自発性に乏しかった児童が自ら会話をしてくれるようになったという経験を何度もしてきましたから、『幼児期における質の高い相互作用』としての『注目の共有』、『応答』、『拡張』、『会話』というのがいかに大事であり、教育者は勿論、家族さんにおいても、不安などがあるかと思いますが、会話を楽しむ姿勢、物事に対して楽しむ姿を子どもに見せ、面白い、楽しいという感情を持った関わりができるかが、発達に大きく影響してくるのだろうと思います。


※東京大学大学院教育学研究科付属発達保育実践政策学センター(CEDEP)とは、保育・幼児教育現場で母語とは異なることばを話す子どもたちのことばの発達を支援するために有効な実践について検討等をされている研究所であり、ロンドン大学University College教育研究所(UCL IoE)の研究グループと共同研究を行なっていて、今回の講演会では、共同研究についての説明と、『保育・幼児教育現場での乳幼児のことばの発達の支援のあり方』について、考えている機関です。


7/30

東京大学大学院教育科学研究科付属 発達保育実践政策学センター主催の第12回発達基礎科学セミナーに参加させて頂きました。


今回のテーマは、『The role of early sensorimotor experiences in the motor and cognitive development of children: Biological factors and environmental affordances』ということで、ボイシ州立大学 心理学部 助教授
であるイリーナ先生に終始英語でしたが、お話を聴かせて頂き、子どもの運動と認知の発達における早期感覚運動経験の役割について、生物学的要因と※1環境アフォーダンスから考えさせてもらいました🤔

その中で、子どもの運動及び認知の発達において、感覚運動の遅延や障害というのは、深刻な影響を及ぼす可能性を高めてしまう危険を孕んでいるとされ、資料でのpreterm(早産)とfull-term(満期)、cerebral palsy(脳性麻痺)とnot cerebral palsy、arthrogryposis(関節拘縮症)とnot arthrogryposisの児童との比較した動画を見るに、背中が丸まりしっかりと座れない、視野の狭さ、目の前にあるモノ(玩具等)に対する認知が遅れる、認知しても手に取れない、興味そのものがなく、無関心であるといった様子が伺え、運動機能及び認知における発達遅延や障害を示すグラフにおいても、時間の経過における遅れと機能的な障害が示されていました。

Children with hemiplegia(片麻痺の子ども)のmanipulating(操作する)については、環境改善(パパさんママさんの理解、周りの理解)といった環境アフォーダンスが必要であり、それによって、児童発達に良い影響を与える可能性があることが今回の説明においても言われていました。

そして、今回の研究報告を聴き、見るに、社会経済的地位や、家庭のアフォーダンスが、運動の遅れのある子どもの運動、言語、および認知の発達に良い影響を与えることが示され、児童の発達に大きな影響を与えることが示唆されていたのですが、その介入の仕方について考える必要性も大きいと感じ、玩具や適切な関わりにおける刺激(ストレス)が、その子に与える影響についても考える必要があるため、発達に関する不安や、焦りといった感情が児童に与える影響もあるだろうと、感じました。

さらに、理学療法としたSTAR-Playや、P-WREXやPlayskin LiftTMのような外骨格に関するウェアラブル技術についての説明において、運動遅延や障害のある子どもの自発的な動き、到達範囲、および物の探索を改善する可能性があることが資料やデータから示されていて、こちらも早期の開始が大事であると感じました。

そして、報告にもあり、イリーナ先生の話にも出てきましたが、物の探索が増えるということは、子どもの認知発達の進展に直接繋がるということであり、積極的に触れさせ、学ばせてあげることが重要であるのだと感じます。

また、私も十数年ほど、臨床と研究とした児童や保護者さんとの関わりを持つ中で、児童認知発達分野での講演や、SNSでの投稿をしていますが、まずは自分のお子さんといかに関わり、共に悩み考え、学んでいくかが、大事であると、子育て支援をしながら思う今日この頃。

PS:いやはや、流石は東大(笑)
レベルが高く、とても楽しいです✨🎵
終始英語というのも、今、インバウンド等の心理的ケアが増えてきている分、専門用語の勉強になり、ありがたい✨🙇

※1アフォーダンスとは、アメリカの心理学者、ジェームス・J・ギブソンによって提唱され、「与える・提供する」という意味を持つ「afford」を元にした造語で、「人や動物と物や環境との間に存在する関係性」を示す認知心理学における概念としてあり、環境アフォーダンスは、主に環境から与えられた影響から心理的影響を考えるアプローチです。